判旨
営業所の倉庫係長が営業所長の占有管理下にある医薬品を領得した行為について、倉庫係長と所長の共同占有を認め、第三者と共謀してこれを行った場合には窃盗罪が成立する。
問題の所在(論点)
営業所の倉庫係長のように、上位者の指揮監督を受けて財物を管理する者に、刑法235条の「占有」が認められるか。また、上位者と下位者の共同占有が認められる場合、下位者が財物を領得する行為は窃盗罪と業務上横領罪のいずれを構成するか。
規範
特定の場所にある財物の占有の帰属については、当該場所の管理責任者だけでなく、実務上の管理を分担する者の間でも共同占有が認められる。この場合、共同占有者の一人が他の占有者の意思に反して財物を自己の排他的な支配下に移す行為は、占有奪取として窃盗罪を構成する。
重要事実
A株式会社B営業所の倉庫には医薬品が保管されていた。この医薬品は、B営業所長Cと、その下で実務に従事する営業所倉庫係長Dとの共同占有管理下にあった。被告人は、倉庫係長Dと共謀した上で、右在庫中の医薬品を領得した。
あてはめ
本件倉庫内の医薬品は、営業所長Cと倉庫係長Dの「共同占有管理下」にあったと認められる。倉庫係長Dがその地位に基づき単独で占有していたのではなく、上位者である所長Cの占有も依然として及んでいたといえる。したがって、DがCの意思に反して医薬品を領得する行為は、Cの占有を排除する「窃取」に該当する。被告人は、このDと共謀して領得行為に及んでいるため、窃盗罪の共同正犯としての責任を負う。
結論
被告人につき、窃盗罪が成立する。
実務上の射程
上下関係のある者同士の共同占有を肯定し、下位者による領得について(業務上)横領罪ではなく窃盗罪の成立を認めた事例である。答案上は、占有の有無を判断する際、物理的支配だけでなく、場所的・事務的な管理権限の有無から「共同占有」を導くロジックとして活用できる。
事件番号: 昭和24(れ)1435 / 裁判年月日: 昭和26年3月15日 / 結論: 棄却
一 所論の書類は、何れも上申書であつて旧刑訴第三四〇条にいわゆる証拠書類には当らないばかりでなく、たとえ証拠書類であるとしても公判廷で被告人の弁護機関である弁護人が提出し、裁判所及び検察官の閲覧を経た証拠書類については特に必要のある場合を除くの外、必ずしもこれを被告人に読み聞かせ又は示してその意見、弁解を求める必要のな…
事件番号: 昭和26(あ)4681 / 裁判年月日: 昭和27年10月24日 / 結論: その他
本件自動車のガソリンタンク内のガソリンの事実上の支配権は、どこまでも占領軍当局に保有されたもので、同運転手はこれを独立して占有するものと認めることができないから、同運転手の本件ガソリンの抜取行為は正に窃盗であつて横領ではない。