一 被告人が刑訴法四〇条に準拠して書類、証拠物の閲覧謄写ができないとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法三二条、三七条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決刑集二巻五号四四七頁、昭和二三年(れ)第二八一号同二五年二月一日大法廷判決刑集四巻二号八八頁、昭和二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決刑集三巻三号三五二頁)の趣旨に徴して明らかである。 二 被告人が刑訴法三八八条により控訴審では弁論能力を制限されているとしても、これは立法政策の問題であつて、右規定が憲法三二条、三七条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)第一七一号同二三年五月五日大法廷判決刑集二巻五号四四七頁、昭和二三年(れ)第二八一号同二五年二月一日大法廷判決刑集四巻二号八八頁、昭和二三年(れ)第五一二号同二四年三月二三日大法廷判決刑集三巻三号三五二頁)の趣旨に徴して明らかである。
一 刑訴法四〇条の合憲性 二 刑訴法三八八条の合憲性
刑訴法40条,刑訴法388条,憲法32条,憲法37条
判旨
被告人本人による証拠等の閲覧謄写の制限や控訴審における弁論能力の制限を定めた刑事訴訟法の規定は、立法政策の問題であり、憲法32条および37条に違反しない。
問題の所在(論点)
被告人本人に対し、訴訟書類等の閲覧謄写を制限し、かつ控訴審での弁論能力を制限する刑事訴訟法の規定は、憲法32条の裁判を受ける権利、および憲法37条が保障する諸権利(公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利等)に抵触し、違憲とならないか。
規範
被告人本人による書類・証拠物の閲覧謄写の可否(刑訴法40条参照)および控訴審における弁論能力の制限(同法388条)の妥当性は、合理的な立法政策の範囲内に属する事柄である。したがって、これらの制限を課す規定が直ちに憲法32条(裁判を受ける権利)や憲法37条(被告人の権利)に違反することはない。
重要事実
被告人は、刑事訴訟法40条(に準拠する運用)によって書類および証拠物の閲覧・謄写が認められなかったこと、および同法388条によって控訴審における弁論能力が制限されていることに対し、これらの規定が憲法32条および37条に違反し、適正な裁判を受ける権利を侵害するものであるとして上告を申し立てた。
あてはめ
最高裁判所は、過去の当裁判所大法廷判決の趣旨を引用し、これらの訴訟手続上の制約は「立法政策の問題」であると判示した。すなわち、被告人の防御権の保障と訴訟の円滑・迅速な進行との調整を図る観点から、弁護人を介さない被告人本人による証拠閲覧等の制限や、控訴審における構造上の特殊性に鑑みた弁論能力の制限を設けることは、立法府の裁量に委ねられた合理的な範囲内のものであると解される。
結論
被告人本人による閲覧謄写の制限および控訴審での弁論能力の制限を定めた刑事訴訟法の各規定は、憲法32条および37条に違反しない。
実務上の射程
本判決は、被告人の防御権と立法政策の調整に関する古典的な判断を示したものである。答案上は、被告人本人の証拠閲覧権や控訴審の構造的特質を論じる際、憲法上の権利が絶対無制約ではないことを裏付ける根拠として活用できるが、現代の証拠開示制度(刑訴法281条の3以下)等の法改正を踏まえた検討が必要である。
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事件番号: 昭和54(あ)305 / 裁判年月日: 昭和54年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審の訴訟手続において弁護人の訴訟活動に対する不当な制約がない限り、憲法37条1項、3項、31条、32条に違反するとの主張は前提を欠き、上告理由にならない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の訴訟手続に関して、弁護人の訴訟活動に不当な制約があったと主張し、それが憲法37条1項、3項、31条、32…