外国人登録法一八条一項一号は、憲法一四条、三一条に違反しない。
外国人登録法一八条一項一号と憲法一四条三一条
外国人登録法18条1項1号,憲法14条,憲法31条
判旨
外国人登録法による外国人の管理は、在留外国人の居住・身分関係を明確にするという公正な管理目的があり、人種差別を目的とするものではないため憲法14条に違反しない。また、登録義務違反に対し、住民登録法等と比較して重い刑罰を科すことも、立法政策の裁量の範囲内であり憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. 外国人登録法による外国人の管理・規制が、憲法14条1項の法の下の平等に違反するか。2. 外国人登録義務違反に対し、日本人向けの届出義務違反(住民登録法等)よりも重い刑事罰を科すことが、憲法31条(罪刑の均衡)に違反するか。
規範
1. 外国人登録等の規制が、在留外国人の居住・身分関係を明確にし、公正な管理に資するという正当な目的を有し、人種差別を趣旨とするものでない限り、憲法14条の法の下の平等に違反しない。2. 特定の義務違反に対し、いかなる種類・範囲の刑を科すかは、罪の種類や態様、程度に応じ、原則として立法機関の立法政策に委ねられる。他の行政法規(住民登録法等)の罰則との均衡のみをもって直ちに憲法31条(適正手続・罪刑均衡)違反とはならない。
重要事実
被告人が外国人登録法上の登録申請義務に違反し、同法18条1項1号に基づき起訴された事案。弁護人は、外国人登録法が人種差別的であり憲法14条に違反すること、および日本国民に適用される住民登録法や戸籍法違反の制裁に比して、外国人登録法の刑罰(懲役、禁錮、罰金)が著しく重く、罪刑均衡を欠き憲法31条に違反することを主張して上告した。
あてはめ
1. 外国人登録法は、本邦に在留する外国人の居住・身分関係を明確化し、公正な管理に資することを目的としている。これは人種のいかんを問わず全外国人を対象としており、国際的にも行われている正当な管理手続であって、人種差別を目的とするものではない。2. 刑罰の選択は立法政策の問題である。外国人登録法が定める刑罰が住民登録法等に比して重いとしても、それは在留管理の必要性という相当の理由に基づくものであり、一定の期間内に申請を命じ、違反に刑罰を科すことは立法府の合理的な裁量の範囲内といえる。
結論
外国人登録法18条1項1号は、憲法14条および憲法31条に違反しない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
外国人に対する特別な管理規制の合憲性を判断したリーディングケース。権利の性質上、日本国民と外国人で差を設けることが許容される場面において、立法目的の正当性と手段(刑罰)の合理性・裁量を認める枠組みとして活用できる。特に「刑罰の選択は原則として立法政策の問題」とする法理は、罪刑均衡が争点となる他事案にも転用可能である。
事件番号: 昭和45(あ)1215 / 裁判年月日: 昭和46年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国人登録法が憲法14条等の規定に違反しないことは、過去の大法廷判例の趣旨に照らし明らかであり、憲法違反の主張には理由がない。 第1 事案の概要:被告人が外国人登録法の規定に違反したとして起訴された事案において、被告人側は当該法律が憲法前文および憲法14条(法の下の平等)に違反する旨を主張して上告…