公職選挙法一四八条の二にいう「新聞紙」は、同法一四八条三項所定の要件を具備するものに限られない。
公職選挙法一四八条の二にいう「新聞紙」の意義
公職選挙法148条の2,公職選挙法148条3項
判旨
公職選挙法148条の2(当時)にいう「新聞紙」の意義について、同法148条3項所定の要件を具備するものに限定されないと判断した。
問題の所在(論点)
公職選挙法148条の2(新聞紙、雑誌の編集その他報道の自由)の適用対象となる「新聞紙」が、同法148条3項に規定される厳格な要件を満たすものに限定されるか。
規範
公職選挙法148条の2に規定される「新聞紙」の範囲は、同法148条3項に掲げられた厳格な要件(定期刊行性、有償頒布性、第三種郵便物認可等)を具備するものに限られず、社会通念上の新聞紙としての実態を有するものを広く含むものと解される。
重要事実
被告人が、公職選挙法の規定に違反して、特定の候補者の選挙運動に関する記事を掲載した印刷物を発行した。当該印刷物が同法148条の2にいう「新聞紙」に該当するか否か、特に同法148条3項が定める新聞紙の定義的要件を満たす必要があるかどうかが争点となった。
あてはめ
判旨は、原審の判断を相当とした。原審は、同法148条の2の趣旨が報道の自由を尊重しつつ選挙の公正を確保する点にあることに鑑み、その対象となる新聞紙を3項の定義に限定して狭く解釈すべきではないとした。したがって、形式的な要件を満たさない印刷物であっても、その内容や形態から「新聞紙」と認められる場合には、同法148条の2の規制および保護の対象となると解される。
結論
公職選挙法148条の2にいう「新聞紙」は、同法148条3項所定の要件を具備するものに限られない。
実務上の射程
選挙犯罪に関する「新聞紙」の定義を広範に捉える判断を示した。答案上では、条文上の定義規定(本件では148条3項)が他の箇所の用語(148条の2)を当然に拘束するか否かが問題となる場面で、法目的(報道の自由の保護と選挙の公正)に照らした合目的的解釈の例として活用できる。
事件番号: 昭和35(あ)249 / 裁判年月日: 昭和35年7月19日 / 結論: 棄却
公職選挙法第一四二条所定の通常葉書ではない第一審判決認定の如き内容の本件新聞紙「A」号外(註。一九五八年四月三〇日付号外神奈川版)を頒布した所為は、同法第一四二条の法定外文書頒布禁止に違反する。