本件につき、昭和四四年八月一二日広島高裁が言い渡した判決に対し、検察官から上告の申立があつたところ、戸籍謄本によれば、被告人は同年七月三一日に死亡したことが明白であるから、刑訴法四一四条、四〇三条一項、四〇四条、三三九条一項四号に従い、公訴棄却の決定をなすべきものとする。(上告趣意書は提出させていない)
第二審判決言渡前に被告人が死亡していた事案について最高裁判所において公訴棄却決定がなされた事例
刑訴法414条,刑訴法403条1項,刑訴法404条,刑訴法339条1項4号
判旨
上告審の係属中に被告人が死亡したことが明らかになった場合、裁判所は、刑事訴訟法に基づき公訴棄却の決定をしなければならない。
問題の所在(論点)
上告審の係属中に被告人が死亡した場合における、裁判所の取るべき措置(公訴棄却決定の要否)。
規範
被告人が死亡したときは、裁判所は決定をもって公訴を棄却しなければならない(刑訴法339条1項4号)。この規定は、控訴審(同403条1項、404条)および上告審(同414条)の手続にも準用される。
重要事実
公職選挙法違反の罪に問われた被告人に対し、昭和44年8月12日に広島高等裁判所が判決を言い渡した。検察官がこれに対して上告を申し立てたが、上告審の継続中に、被告人が昭和44年7月31日に死亡したことが、町長作成の戸籍謄本の記載により判明した。
あてはめ
本件において、被告人は昭和44年7月31日に死亡しており、その事実は戸籍謄本によって明白に認められる。刑事訴訟法414条は、上告審の手続において第一審の公訴棄却に関する規定(339条1項4号)を準用している。したがって、被告人の死亡という形式的な訴訟条件の欠如により、実体審理を継続することはできず、公訴を棄却する決定を下す必要がある。
結論
本件公訴を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における被告人の当事者能力の喪失に伴う当然の帰結を示す。被告人死亡による公訴棄却は形式裁判であるため、有罪・無罪の実体判断は行われない。司法試験上は、訴訟条件の不備が判明した場合の裁判所の義務的な措置(刑訴法339条1項各号)として整理される。
事件番号: 昭和42(す)94 / 裁判年月日: 昭和42年5月17日 / 結論: その他
上告棄却決定後、適法な異議申立期間内に、弁護人から右決定前に被告人が死亡していたことを理由として公訴棄却の決定を求める旨の異議の申立があり、右死亡の事実が明らかな場合には、右決定を取り消し、被告人に対する公訴を棄却すべきである。
事件番号: 昭和51(す)254 / 裁判年月日: 昭和51年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定に対する異議申立中に被告人が死亡した場合、裁判所は刑訴法339条1項4号を準用し、公訴棄却の決定をすべきである。 第1 事案の概要:被告人Aに対する公職選挙法違反被告事件について、最高裁判所が昭和51年11月12日に上告棄却決定を下した。これに対し、申立人らから異議の申立てがなされ、事…
事件番号: 昭和24(つ)81 / 裁判年月日: 昭和24年7月27日 / 結論: 棄却
原決定は被告人の死亡により本件公訴を棄却したものであるから、これに對しては、被告人又は原審辯護人からは、上訴をすることができないものといわなければならない。