上告棄却決定後、適法な異議申立期間内に、弁護人から右決定前に被告人が死亡していたことを理由として公訴棄却の決定を求める旨の異議の申立があり、右死亡の事実が明らかな場合には、右決定を取り消し、被告人に対する公訴を棄却すべきである。
上告棄却決定前に被告人が死亡していたことを理由として右決定に対する弁護人からの異議申立が認められた事例
刑訴法414条,刑訴法386条1項3号,刑訴法386条2項,刑訴法385条2項,刑訴法428条2項,刑訴法428条3項,刑訴法422条,刑訴法426条2項,刑訴法404条,刑訴法339条1項4号
判旨
被告人が死亡したことが戸籍抄本等により明らかになった場合、裁判所は刑訴法339条1項4号に基づき決定で公訴を棄却しなければならない。
問題の所在(論点)
被告人が公訴提起後、裁判の確定前に死亡した場合において、裁判所がいかなる裁判をすべきか。特に、死亡の事実が公的な証明書により判明した場合の処理が問題となる。
規範
刑事訴訟法339条1項4号は、被告人が死亡したときは、決定で公訴を棄却しなければならないと規定する。また、上告審においても、刑訴法414条が準用する404条、339条1項4号により、被告人の死亡が確認された場合には公訴棄却の決定をすべきものとされる。
重要事実
被告人Aについて、昭和42年3月4日に死亡した事実が、同年3月17日付の静岡県伊東市長による戸籍抄本の認証によって明らかとなった。本件は最高裁判所に係属中(異議申立手続等)の事案であった。
あてはめ
被告人Aについて、伊東市長認証の戸籍抄本という客観的証拠により、昭和42年3月4日に死亡した事実が明確に認められる。これは刑訴法339条1項4号に規定する「被告人が死亡したとき」に該当するため、実体判決をなすことができない訴訟条件の欠缺(当事者能力の喪失)が生じているといえる。
結論
被告人Aに対する本件公訴を棄却する。
実務上の射程
本決定は、被告人の死亡という形式的な訴訟終了事由の処理を簡潔に示したものである。司法試験等の答案作成においては、被告人が死亡した場合には無罪判決の余地を検討することなく、直ちに刑訴法339条1項4号(控訴審なら385条1項、上告審なら本決定の通り準用規定)に基づき公訴棄却の決定がなされることを摘示する際に参照すべき基本的事例である。
事件番号: 昭和44(あ)1916 / 裁判年月日: 昭和44年10月1日 / 結論: その他
本件につき、昭和四四年八月一二日広島高裁が言い渡した判決に対し、検察官から上告の申立があつたところ、戸籍謄本によれば、被告人は同年七月三一日に死亡したことが明白であるから、刑訴法四一四条、四〇三条一項、四〇四条、三三九条一項四号に従い、公訴棄却の決定をなすべきものとする。(上告趣意書は提出させていない)
事件番号: 昭和51(す)254 / 裁判年月日: 昭和51年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却決定に対する異議申立中に被告人が死亡した場合、裁判所は刑訴法339条1項4号を準用し、公訴棄却の決定をすべきである。 第1 事案の概要:被告人Aに対する公職選挙法違反被告事件について、最高裁判所が昭和51年11月12日に上告棄却決定を下した。これに対し、申立人らから異議の申立てがなされ、事…