判旨
被告人の性格に関する主張や量刑不当の主張は、憲法違反をいうものであっても実質的に事実誤認や量刑不当にすぎない場合は、刑訴法405条の上告理由には当たらない。
問題の所在(論点)
憲法違反(19条違反)を形式的に主張する場合であっても、その実質が被告人の性格に関する事実誤認や量刑不当の主張である場合に、刑訴法405条の上告理由として適法といえるか。
規範
刑訴法405条所定の上告理由に該当するか否かは、単に憲法違反等の主張がなされているかという形式面ではなく、その主張の実質によって判断される。具体的には、憲法違反を主張していても、その実質が事実誤認や量刑不当の主張にすぎない場合には、同条の上告理由として認められない。
重要事実
被告人が裁判の延期を求めたほか、弁護人が憲法19条違反を主張して上告した事案である。弁護人の主張は、被告人の性格についての判断が誤っていること、および量刑が不当であることを主たる内容とするものであった。
あてはめ
弁護人は憲法19条違反を主張するが、その実質は「被告人の性格についての事実誤認の主張」および「量刑不当の主張」にすぎない。これらは刑訴法405条が規定する上告理由のいずれにも該当しない。また、職権による破棄事由を定めた刑訴法411条を適用すべき事情も、記録上認められない。
結論
本件上告は刑訴法405条の上告理由に当たらないため、同法414条、386条1項3号により棄却される。
実務上の射程
司法試験の答案においては、上告審の構造や上告理由の限定を論じる際、形式的な憲法違反の主張があっても実質的に事実誤認や量刑不当を争うものは不適法な上告として処理されるという判例実務の例証として利用できる。
事件番号: 昭和25(あ)1029 / 裁判年月日: 昭和26年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法上の量刑の不当や事実誤認の主張は、憲法違反を名目とするものであっても、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の判決に対し、憲法11条(基本的人権の享有)違反を名目として量刑不当を主張し、さらに第一審判決に事実誤認および量刑不当があるとして上告を申し立てた事案である。 …