判旨
起訴前の接見等指定処分に対し準抗告等を申し立てている間に、被疑者が公訴を提起された場合には、当該処分の取消しを求める訴えの利益は消滅する。
問題の所在(論点)
起訴前の勾留中になされた接見等指定処分について、不服申立ての審理中に被告人が起訴された場合、当該処分を取り消すことの法的利益(不服申立ての実益)が存続するか。
規範
処分に対する不服申立ての利益(訴えの利益)は、当該処分が現在も効力を有し、またはその取消しによって回復すべき法的利益が存在する場合に認められる。刑事手続上の処分については、手続の段階が移行し、当該処分の前提となった状態が解消された場合には、原則としてその取消しを求める実益はなくなる。
重要事実
本件申立人(被疑者)は、起訴前の勾留中、検察官から弁護人との接見交通につき日時場所の指定処分を受けた。申立人はこの指定処分の当否を争い、不服申立て(抗告)を行っていたが、その手続中に当該被疑事実について公訴が提起された。
あてはめ
本件において、申立人が争っているのは「起訴前の勾留」を前提とした検察官による接見指定処分である。しかし、申立人は昭和43年7月24日に公訴を提起されており、身分が被疑者から被告人へと移行している。これにより、起訴前の捜査段階を前提とした接見指定処分の効力や必要性は実質的に消滅しており、今さら原決定を取り消して当該処分の当否を判断すべき法的利益は失われたものと解される。
結論
被疑者が公訴を提起された以上、起訴前の接見指定処分に対する抗告をもってその取消しを求める実益はなくなったものといわざるを得ず、本件抗告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和33(し)6 / 裁判年月日: 昭和33年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定に関する準抗告棄却決定に対する特別抗告において、既に弁護人が接見を終えている場合や、公訴提起または釈放により接見指定の規定が適用される余地がなくなった場合には、原決定を取り消す実益がなく、抗告は理由がない。 第1 事案の概要:弁護人が、検察官による接見指定に対して不服を申し立てた事案。しか…
接見指定処分(刑訴法39条3項)に対する準抗告中に起訴がなされた場合の訴えの利益に関する判断枠組みを示す。答案上は、接見交通権侵害の救済を論ずる際、刑事手続の進行(起訴)によって「処分の取消し」という形式の救済が制限される場面で使用する。ただし、現在は国家賠償請求等において「確認の利益」に近い考え方で実質的違法性が判断される余地がある点に留意が必要である。
事件番号: 昭和54(し)54 / 裁判年月日: 昭和54年5月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】起訴前の勾留中になされた接見交通指定処分について、被疑者が釈放された場合には、当該処分の取消しを求める訴えの利益(不服申立ての実益)は消滅する。 第1 事案の概要:本件申立人は、起訴前の勾留中に検察官から弁護人との接見交通の指定処分を受けた。申立人はこの処分の当否を争い抗告を申し立てていたが、最高…
事件番号: 昭和45(し)33 / 裁判年月日: 昭和45年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による接見等の日時等の指定(いわゆる一般的指定)は、公訴の提起により当然にその効力を失う。 第1 事案の概要:受託収賄被疑事件により勾留された被疑者に対し、検察官は昭和45年5月13日付で、弁護人との接見等に関し、日時・場所・時間を別に発する指定書のとおり指定する旨の「一般的指定」を行った。…
事件番号: 昭和44(し)21 / 裁判年月日: 昭和44年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見指定の取消又は変更を求める権利は、身体拘束中の被告人・被疑者に認められるものであるから、釈放後は申立ての利益を欠き、原決定を取り消す実益がない。 第1 事案の概要:申立人は、裁判官の発した勾留状により勾留されていた被疑者であった。申立人は検察官が行った接見指定に対して不服を申し立てていたが、最…
事件番号: 昭和46(し)70 / 裁判年月日: 昭和46年9月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】接見拒否処分の効力を争う手続において、被疑者が公訴を提起され、かつ保釈により釈放された場合には、当該処分の効力を争う利益が失われる。 第1 事案の概要:被疑者Aは詐欺等の容疑で勾留中、検察官及び司法警察職員から接見拒否処分を受けた。その後、Aは当該事件について公訴を提起され、さらに保釈許可決定によ…