判旨
忌避申立事件の原審裁判所が、特定の部(民事部等)によって構成されていること自体は、直ちに不適法となるものではない。
問題の所在(論点)
忌避申立事案を審理する裁判所が民事部であること、またはその構成自体が、裁判の公正を害し、不適法あるいは憲法違反となるか。
規範
忌避申立の適法性・正当性は、申立対象となった裁判官に不公平な裁判をするおそれがあるか否かによって判断されるべきであり、忌避申立自体を審理する裁判所の構成部(民事部か刑事部か等)の形式的属性のみをもって、その審理手続が不適法あるいは憲法違反となるものではない。
重要事実
抗告人は裁判官に対する忌避申立を行ったが、これに対する異議申立を棄却した原裁判所が名古屋高等裁判所の民事第三部であった。抗告人は、刑事事件に関連する手続(忌避)において民事部が審理を行ったこと自体が不適法であり憲法に違反すると主張して抗告した。
あてはめ
本件において、原裁判所が名古屋高等裁判所民事第三部である事実は認められる。しかし、裁判所内部の事務分担として民事部が忌避申立を審理すること自体に法的な不備はなく、そのこと自体が直ちに不適法をもたらすものではない。また、抗告人の主張は実質的には審理不尽をいう法令違反の主張に留まり、具体的な憲法違反の根拠や、忌避の理由となる客観的な事情を基礎付けるものではないといえる。
結論
本件抗告は棄却される。忌避申立事件を民事部が審理すること自体は適法である。
実務上の射程
裁判所の内部的な事務分担(部制)が裁判の公正や適法性に与える影響を限定的に解する際の根拠となる。答案上は、裁判所の構成の適法性が争点となった場合に、事務分配の形式的差異が直ちに憲法・手続法違反にはならないことを示すために引用できる。ただし、本決定は理由が簡略であるため、具体的な忌避事由の有無に関する判断枠組みについては、別途刑訴法21条等の通説的見解を補充する必要がある。
事件番号: 昭和43(し)102 / 裁判年月日: 昭和43年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官について不公平な裁判をするおそれがあるとは認められないとした原決定の判断に違法はない。したがって、不公平な裁判官を忌避できなかったとする憲法37条1項違反の主張は前提を欠き、抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:被告人が、担当の3名の裁判官について「不公平な裁判をするおそれがある」として…
事件番号: 昭和46(し)92 / 裁判年月日: 昭和46年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものは、同条所定の抗告理由に当たらない。 第1 事案の概要:抗告人は、原決定に対し刑訴法433条に基づき特別抗告を申し立てた。抗告の趣意において抗告人は「違憲」を主張したが、その実質的な内容は、憲法問題ではなく単なる法令の適用…
事件番号: 昭和33(し)85 / 裁判年月日: 昭和33年12月15日 / 結論: 棄却
一 裁判官忌避申立却下決定の成立後、その送達前に、その決定をした裁判官を忌避する申立があつても、右決定は、訴訟法上適法に構成された裁判所の裁判たる性質を失うものではない。 二 刑訴第二三条にいう「その裁判官所属の裁判所が、決定を」するというのは、忌避された裁判官所属の裁判所の裁判官をもつて構成される、訴訟法上の意味の裁…
事件番号: 昭和46(し)56 / 裁判年月日: 昭和46年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判官について、不公平な裁判をするおそれがあるとは認められない場合には、憲法32条に違反せず、忌避の事由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人が特定の裁判官(深田源次裁判官)に対し、憲法32条違反(裁判を受ける権利の侵害)を理由として、不公平な裁判をするおそれがあるとして忌避を申し立てたが、原…
事件番号: 昭和27(し)41 / 裁判年月日: 昭和28年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が決定を下すに当たり、憲法に違反する憲法解釈上の誤りや、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反が認められない場合には、特別抗告を棄却すべきである。本件においては、憲法違反を主張する抗告人の主張に理由がないとして、特別抗告を棄却した。 第1 事案の概要:抗告人が、原決定に対して特別抗告を申し…