判旨
無免許運転に対する道路交通法の法定刑(懲役6月以下)は、昨今の交通事情に照らせば、犯罪に対する刑罰として著しく均衡を失しているとは認められず、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
無免許運転罪の法定刑(懲役6月以下)は、形式犯に対する刑罰として過重であり、憲法31条(適正手続・実体的正当性)に違反するか。
規範
刑罰規定が憲法31条に適合するか否かは、当該犯罪の性質、保護法益、及び社会情勢を総合的に考慮し、その法定刑が犯罪に対する刑罰として著しく均衡を失しているか否かによって判断される。
重要事実
被告人は無免許運転の罪(道路交通法64条、118条1項1号)に問われた。これに対し弁護人は、無免許運転は形式犯にすぎないにもかかわらず、最高限度として懲役6月の刑を定めていることは、適正な手続(実体的正当性)を欠き、憲法31条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
道路交通法が定める無免許運転に対する懲役6月という刑罰は、当時の交通事情、すなわち交通違反や交通事故の発生状況等に照らして検討されるべきである。無免許運転がもたらす危険性や交通秩序維持の必要性を考慮すれば、最高限度として懲役6月を課すことは、犯罪の悪質性や法的評価に照らして過剰とはいえない。したがって、本件規定が著しく均衡を失しているとは認められない。
結論
道路交通法の無免許運転罪の法定刑は憲法31条に違反しない。
実務上の射程
刑事法規の法定刑の違憲性が争われる際の基準(均衡の原則)を示す簡潔な先例として利用できる。特に、形式犯であっても交通安全等の重要な公共の利益を保護する目的があれば、一定の重い法定刑も合理性を有すると判断される傾向を示す。
事件番号: 昭和47(あ)2391 / 裁判年月日: 昭和49年9月27日 / 結論: 棄却
運転免許拒否の処分に不服がある場合には行政訴訟を提起してその是正を求めるのが先決であり、無免許運転行為に対する刑事裁判手続において運転免許を与えられないことが違憲であるとの主張は許されない。