判旨
上告趣意書提出期間経過後に提出された補充書に基づく主張は、適法な上告理由に当たらないため、裁判所の判断対象とならない。
問題の所在(論点)
上告趣意書の提出期間経過後に提出された上告趣意補充書に記載された主張について、裁判所は判決において判断を示す義務を負うか(刑事訴訟法上の期間制限の効力)。
規範
刑事訴訟法に基づく上告審において、被告人または弁護人が上告趣意書提出期間を経過した後に提出した補充書については、特段の事情がない限り、裁判所はこれに判断を加えることを要しない。
重要事実
被告人が刑事事件について上告を提起した際、弁護人が提出した上告趣意書(被告人の補充上告趣意書を含む)において事実誤認および量刑不当を主張した。これとは別に、被告人本人が昭和44年4月7日付で上告趣意補充書を提出したが、この書面は法令で定められた上告趣意書の提出期間が経過した後に裁判所に届けられたものであった。
あてはめ
弁護人が提出した上告趣意書における事実誤認・量刑不当の主張は適法な上告理由(刑訴法405条各号)に該当しない。また、被告人が提出した昭和44年4月7日付の上告趣意補充書については、上告趣意書の提出期間を経過した後に提出されたものであることが明らかである。したがって、当該補充書に記載された内容を実質的に審理し、判決において判断を示す必要はないものと解される。
結論
上告趣意書の提出期間経過後に提出された書面に基づく主張については、判断を加えることなく上告を棄却するのが相当である。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟手続における期間制限の厳格な運用を確認するものである。実務上、上告趣意書提出期間の遵守は不可欠であり、期間経過後の主張は原則として判断対象から除外される。答案作成上は、手続の適法性を論ずる際、提出期間という形式的要件が実質的審理の前提となる点に留意すべきである。
事件番号: 昭和26(あ)1442 / 裁判年月日: 昭和26年8月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、被告人の上告について、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が提出した上告趣意に基づき、最高裁判所が記録を精査したが、刑訴法405条の上告理由に該当する事由は認められず、かつ、職権による破棄事由も認められなかった事案である。 …
事件番号: 昭和26(あ)1404 / 裁判年月日: 昭和27年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告審において、被告人が提出した書面が法定の上告趣意書提出期間経過後に差し出されたものである場合、裁判所はこれに対して判断を要しない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、弁護人による上告趣意書のほかに、被告人自身も「歎願書上申書」と題する書面を提出した。しかし、当該書面が裁判所に提出され…