判旨
共謀共同正犯の成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない共謀者に共同正犯としての刑責を負わせることは、憲法31条に違反しない。
問題の所在(論点)
直接実行行為に関与していない「共謀者」に対して、刑法60条に基づき共同正犯の刑事責任を問うことが、憲法31条の適正手続に反しないか。
規範
特定の犯罪を行う目的をもって二人以上の者が共謀し、その共謀に基づき、共謀者の一部が実行行為に及んだ場合、直接実行行為に関与していない者であっても、共謀関係が存在する限り刑法60条の共同正犯としての責任を負う。
重要事実
被告人は、いわゆる共謀共同正犯における共謀に参加した事実が認められるものの、当該犯罪の実行行為自体には直接関与していなかった。弁護人は、実行行為に加担していない共謀者に刑責を負わせることは、適正手続を定める憲法31条に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
判旨は過去の判例(昭和33年5月28日大法廷判決等)を引用し、共謀共同正犯の理論を維持する姿勢を明確にしている。本件において被告人が「共謀に参加した事実」が証拠上認められる以上、実行行為への直接関与の有無にかかわらず、その共同意思に基づき犯罪が実現されたといえるため、刑責を課すことに憲法上の瑕疵はないと判断した。
結論
直接実行行為に関与しない共謀者に共同正犯の刑責を負わせることは合憲であり、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
共謀共同正犯の合憲性を端的に認めた判例である。司法試験においては、実行行為に直接関与していない人物(首謀者等)の刑事責任を問う際の法的根拠として、刑法60条の解釈における共謀共同正犯の成立要件(共謀・共謀に基づく実行)を論じる前提として活用できる。
事件番号: 昭和41(あ)578 / 裁判年月日: 昭和41年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共犯者に対し有罪判決をした裁判官が、被告人の事件を審理しても、直ちに忌避原因にはならず、憲法の定める「公平な裁判所」の要請に反しない。また、共謀に参加した事実が認められれば、直接実行行為に関与せずとも共謀共同正犯としての刑責を負わせることは合憲である。 第1 事案の概要:被告人は、共通の犯罪事実に…
事件番号: 昭和27(あ)4063 / 裁判年月日: 昭和29年4月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀者が共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、犯罪を実行に移した以上、自ら実行行為を分担しなくても共同正犯の責任を負う。この場合、誰が最初に犯行を提議したかや、実行に欠くべからざる行為をしたか、あるいは主謀者であったかといった事情は、共同正犯の成立を左右するものではない。 第1 事案…
事件番号: 昭和43(あ)1470 / 裁判年月日: 昭和44年4月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共謀共同正犯成立に必要な共謀に参加した事実が認められる以上、直接実行行為に関与しない共謀者であっても刑法60条の共同正犯としての責任を負い、これは憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、特定の犯罪に関する共謀に加担した。共謀に基づき一部の者が実行行為を行ったが、被告人ら自身…