判旨
死刑判決の正当性について、諸般の事情を慎重に考慮した上であれば、第一審の死刑判決を是認した控訴審判決に職権破棄すべき事由はない。
問題の所在(論点)
死刑という極刑を選択した第一審判決を是認した原判決に対し、刑訴法411条を適用して職権で破棄すべき著しい量刑不当があるか。
規範
死刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の処罰感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状等、諸般の事情を慎重に考慮し、やむを得ないと認められる場合に許容される。
重要事実
被告人が重大な罪を犯し、第一審において死刑を言い渡された事案。被告人本人は事実誤認および量刑不当を主張し、弁護人も法令違反、事実誤認、量刑不当を理由に上告したが、原判決(控訴審)は第一審の死刑判決を是認していた。
あてはめ
原判決は、諸般の事情を慎重に考慮した上で、被告人を死刑に処した第一審判決を是認している。この判断過程に不合理な点は認められず、死刑の選択はやむを得ないものというべきである。したがって、上告趣意にいう量刑不当等の主張は上告理由に当たらないだけでなく、職権をもって調査しても破棄すべき事由は認められない。
結論
本件上告を棄却する。死刑判決を是認した原判決に憲法違反や刑訴法411条の適用事由は認められない。
実務上の射程
死刑判決が維持された極めて簡潔な決定であるが、後年の永山基準(最判昭58.7.8)に至る前の実務慣行を示す。死刑の適用が「やむを得ない」か否かの判断において、諸般の事情の慎重な考慮が不可欠であることを示唆している。
事件番号: 昭和42(あ)1375 / 裁判年月日: 昭和43年4月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択が許されるのは、犯行の動機、態様、結果、社会的影響、被告人の態度等の諸般の情状を照らし、極刑を科すことがやむを得ないと認められる場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人が特定の犯罪行為(詳細は判決文からは不明)を行い、第一審および控訴審において極刑(死刑)の判決を受けた。被告人側は事実…
事件番号: 平成2(あ)1110 / 裁判年月日: 平成8年12月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、犯行の罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、前科、犯行後の情状等を総合的に考慮し、その罪責が誠に重く、やむを得ない場合に認められる。自首や反省等の被告人に有利な事情を考慮しても、犯行の計画性や残虐性が著しい場合には死刑判決を是認できる。 第1 事案の概…
事件番号: 昭和62(あ)192 / 裁判年月日: 平成2年12月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択については、犯行の罪質、動機、態様、結果、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢、前科、犯行後の情状などの諸要素を総合考慮し、その刑の選択がやむを得ないと認められる場合に許される。 第1 事案の概要:被告人は、強盗殺人罪により無期懲役に処せられ、仮出獄中の身であった。被告人は、居直り強…
事件番号: 平成21(あ)516 / 裁判年月日: 平成24年1月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の刑事責任が極めて重大であり、犯行の経緯・動機に酌量の余地がなく、態様が冷酷・残虐で結果が重大である場合、前科がないこと等の有利な事情を考慮しても、死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は金品強奪および強姦目的で、母娘2人が居住する住宅に侵入。帰宅した母親(当時52歳)および二…