判旨
常習特殊窃盗罪等の常習性認定において、判決書に常習性を認定すべき証拠を具体的に示さなかったとしても、直ちに違法とはならない。
問題の所在(論点)
常習累犯窃盗罪等における「常習性」の認定にあたり、判決書にその認定の基礎となった証拠を具体的に表示する必要があるか(刑事訴訟法335条1項、および判例違反の有無)。
規範
判決書において犯行の常習性を認定する場合、その前提となる証拠を個別に明示しなかったとしても、判決全体から常習性の認定が適法になされていると認められる限り、直ちに理由不備等の違法があるとはいえない。
重要事実
被告人が常習特殊窃盗罪等の罪に問われた事案において、原判決が犯行の常習性を認定するに際し、その根拠となる証拠を判決書に具体的に示さなかった。これに対し、弁護人が大審院時代の判例を引用し、証拠の不呈示は判例違反であるとして上告した。
あてはめ
最高裁は、原判決が「常習性を認定すべき証拠を判決に示さなくてもよい」という法律判断を示したわけではないと指摘した。その上で、引用された大審院判決との矛盾は認められず、またその他の主張も事実誤認や単なる法令違反にすぎないとした。記録を精査しても刑事訴訟法411条を適用して破棄すべき顕著な正義に反する事由は認められないと判断した。
結論
本件上告は棄却される。常習性の認定根拠となる証拠が示されていないことを理由とする判例違反の主張は、前提を欠くものとして退けられた。
実務上の射程
常習性のような評価的要素の認定において、証拠との対応関係の記載が簡略であっても、判決全体から合理的な認定が読み取れるのであれば、形式的な理由不備を理由とする上告は認められにくいことを示唆している。
事件番号: 昭和31(あ)2519 / 裁判年月日: 昭和31年11月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法382条の2に基づき事実誤認を主張する場合、控訴審において新たな証拠調べを求めるには、同条所定の疎明資料の提出を要する。必要な資料を提出せずにされた証人尋問の申請を却下することは、適法な証拠決定であり違法ではない。 第1 事案の概要:弁護人が、控訴趣意書において事実誤認を主張し、その立証…
事件番号: 昭和48(あ)369 / 裁判年月日: 昭和48年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由として主張された判例違反が認められず、その他の主張も刑訴法405条の上告理由に該当しないとして、上告を棄却したものである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立てた際、弁護人は福岡高等裁判所昭和24年11月2日の判決を引用して判例違反を主張した。あわせて、単なる法令違反および量刑…
事件番号: 昭和32(あ)3258 / 裁判年月日: 昭和33年5月24日 / 結論: 棄却
町村合併によつて新たに成立した町の町役場戸籍課長兼広報宣伝係である地方公務員が、その町の分町活動の活溌化に対抗し町を育成一本化するため分町反対派の町議会議員有志の結成した町育成本部なる団体の依頼により、町村合併による大町村の有利な所以を宣伝放送する行為は、地方公務員法第三五条及び第三六条に違反しない
事件番号: 昭和41(あ)1697 / 裁判年月日: 昭和48年3月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本決定は、検察官の上告について、引用された判例が事案を異にすること、及び単なる法令違反の主張であることを理由に、刑訴法405条の上告理由に当たらないとして棄却したものである。 第1 事案の概要:検察官が判例違反および法令違反を理由として上告を申し立てた事案。検察官は上告趣意において特定の判例を引用…
事件番号: 昭和57(あ)254 / 裁判年月日: 昭和57年6月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】別件逮捕・勾留の違法性が主張されたとしても、原判決が証拠の信用性判断の過程でその目的の存否に言及したにとどまる場合には、捜査自体の憲法適合性を判断したものとはいえず、違憲を理由とする適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が逮捕・勾留された際、その目的が不当であったとして弁護人が違…