判旨
被告人が上告審において死滅した場合、公訴棄却の決定をなすべきである。
問題の所在(論点)
上告審の係属中に被告人が死亡した場合において、裁判所がなすべき裁判上の措置が問題となる。
規範
刑事訴訟法上、被告人が死亡したときは、公訴棄却の決定をしなければならない(刑事訴訟法339条1項4号)。この規定は、控訴審及び上告審の公判手続にも準用される(同法404条、414条)。
重要事実
猥せつ図画販売被告事件において、被告人が昭和43年5月17日の広島高等裁判所による判決に対し上告を申し立てた。当該事件が最高裁判所に係属中、昭和43年9月3日に被告人が死亡した事実が、高知市長作成の戸籍謄本の記載によって明らかとなった。
あてはめ
被告人が死亡した事実は、公的な証明書類である戸籍謄本により明白に認められる。本件は上告審に係属中であるところ、刑事訴訟法414条は上告審の手続について同法404条および339条の規定を準用している。したがって、被告人の死亡という形式的な訴訟条件の欠如が認められる以上、実体判決をなすことはできず、公訴を棄却する決定を下すことが法的に要請される。
結論
本件公訴を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟における当事者能力の喪失(被告人の死亡)に伴う形式裁判の典型例である。答案上は、被告人が死亡した場合には実体審理を打ち切り、公訴棄却決定(339条1項4号)により訴訟を終了させる必要があることを端的に示す際に用いる。
事件番号: 昭和46(あ)758 / 裁判年月日: 昭和51年3月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が上告提起後に死亡したことが戸籍抄本により明白である場合、刑事訴訟法414条、404条、339条1項4号に基づき、決定をもって公訴を棄却すべきである。 第1 事案の概要:名誉毀損被告事件について、昭和46年2月20日に東京高等裁判所が言い渡した判決に対し、被告人から上告の申立てがなされた。し…
事件番号: 平成1(す)22 / 裁判年月日: 平成元年3月13日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が上告審において死亡した場合には、裁判所は決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人が平成元年2月16日に死亡したことが、村長認証の戸籍謄本によって確認された。本件は最高裁判所に係属中の事案であった。 第2 問題の所在(論点):上告審において被告人が死亡した場合の裁…
事件番号: 平成27(あ)239 / 裁判年月日: 平成27年3月3日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が判決宣告前に死亡したことが明白である場合、裁判所は決定をもって公訴を棄却しなければならない。 第1 事案の概要:被告人は強制わいせつ、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反、名誉毀損の罪で起訴されていた。大阪高等裁判所が平成27年1月27日に判決を言い渡したが、検察官の上告後に提出された戸籍…