判旨
死刑の言渡しをする場合には、刑法21条を適用して未決勾留日数を本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
死刑の言渡しにおいて、刑法21条に基づき未決勾留日数を算入することができるか。
規範
刑法21条は、未決勾留日数の本刑算入について規定するが、同条にいう「本刑」に死刑は含まれない。したがって、死刑を選択した場合には未決勾留日数を算入する余地はない。
重要事実
被告人に対し、最高裁判所が昭和42年12月21日付の決定において、死刑を維持しつつ、当審における未決勾留日数中170日を本刑に算入する旨の主文および理由(刑法21条の適用)を付した。
あてはめ
最高裁判所は、前示決定において死刑の言渡しを維持しながら「被告人の当審における未決勾留日数中170日を本刑に算入する」としたが、死刑はその性質上、未決勾留日数の算入を許容する「本刑」に該当しない。そのため、当該算入部分は法の解釈を誤った違法なものであると判断される。
結論
被告人に対する前示決定のうち、未決勾留日数を本刑に算入する旨の主文および根拠法条(刑法21条)の記載を削除する。
実務上の射程
死刑判決における未決勾留算入の可否という極めて限定的な場面に関する判断であるが、刑法21条の「本刑」の解釈を示す。実務上、死刑以外の自由刑等では算入が義務的(または裁量的)であるが、生命刑にはその性質上馴染まないことを明示したものである。
事件番号: 昭和44(す)314 / 裁判年月日: 昭和45年1月8日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】最高裁判所は、上告棄却の決定においてなされた未決勾留日数の算入について、検察官からの異議申立てに理由があると認め、算入日数を「40日」から「本刑に満つるまで」へと更正した。 第1 事案の概要:被告人の恐喝、同未遂、脅迫被告事件について、最高裁判所は昭和44年12月24日に上告棄却の決定を下した。そ…
事件番号: 昭和44(す)313 / 裁判年月日: 昭和45年1月29日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】上告棄却の決定においてなされた未決勾留日数の本刑算入に関する判断に誤りがある場合、検察官の異議申立てにより、当該算入部分および根拠法条の記載を削除する更正を行うことができる。 第1 事案の概要:麻薬取締法違反被告事件について、最高裁判所が昭和44年12月24日に上告棄却の決定を下した。その際、主文…
事件番号: 昭和42(す)278 / 裁判年月日: 昭和42年9月25日 / 結論: 棄却
上告棄却決定に対する異議申立について、申立書自体には何ら具体的理由が付されてなく、異議申立期間内に理由書の提出もないときは、刑訴法第四一四条、第三八六条第二項、第三八五条第二項、第四二六条第一項により申立を棄却すべきである。
事件番号: 昭和28(し)31 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新制限規定の適用有無に関する憲法違反の主張は、実質的に単なる法令違反の主張にすぎず、特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、禁錮以上の刑に処する判決があった後の勾留につき、刑事訴訟法60条2項但書の勾留更新の制限規定(※旧法下における更新回数制限等…
事件番号: 昭和42(す)21 / 裁判年月日: 昭和42年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく刑の執行に関する異議の申立ては、刑の言渡しをした確定裁判を対象とするものであり、抗告棄却決定に対してなすことはできない。 第1 事案の概要:申立人が、刑の言渡しをした確定裁判そのものではなく、当該裁判等に関連する手続においてなされたと思われる抗告棄却決定に対し、刑事訴訟法…