判旨
被告人の上告を棄却した最高裁判所は、刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。したがって、上告棄却決定に対して裁判の解釈を求める申立てをすることは許されない。
問題の所在(論点)
上告を棄却した最高裁判所が、刑事訴訟法501条に規定される「刑の言渡をした裁判所」に該当し、その決定に対して裁判の解釈の申立てをすることが可能か。
規範
刑事訴訟法501条が規定する「刑の言渡をした裁判所」とは、被告人に対して具体的な刑の量定を行い、その言渡しを直接下した裁判所を指す。上告棄却の決定は、原判決の正当性を確認し上告を退ける手続的判断に留まり、自ら刑を量定して言い渡すものではないため、同条の裁判所には該当しない。
重要事実
被告人は器物毀棄および傷害被告事件について、最高裁判所から昭和42年10月27日に上告棄却の決定を受けた。これに対し、申立人は刑訴法501条に基づき、当該決定に係る裁判の解釈を求める申立てを行った。
あてはめ
本件において最高裁判所が下したのは、被告人の上告を棄却する決定である。この決定は、原審が言い渡した刑を維持する効果は持つものの、最高裁判所自らが改めて被告人に対し刑を言い渡したものではない。刑事訴訟法501条の「刑の言渡をした裁判所」という文言は、具体的な刑の執行の前提となる言渡しを行った裁判所を予定していると解されるところ、上告棄却決定を行った最高裁判所はこれに当たらない。したがって、法的な要件を満たさない申立てであると判断される。
結論
上告を棄却した最高裁判所は刑訴法501条の裁判所に当たらないため、本件申立ては不適法であり、棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和42(す)446 / 裁判年月日: 昭和43年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条の「裁判の解釈について疑があるとき」とは、裁判の主文の趣旨が明瞭でなくその解釈に疑義がある場合を指し、上告棄却決定をした裁判所は同条の「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が、自らの上告を棄却した最高裁判所の決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の…
本決定は、刑の執行に関する疑義を解消するための救済手段である「裁判の解釈の申立て」の客体および管轄を限定したものである。答案上は、最高裁判所が上告棄却等で手続を終了させた場合に、その判断が「刑の言渡し」そのものに該当しないことを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和52(す)109 / 裁判年月日: 昭和52年6月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条の「刑の言渡をした裁判所」に上告棄却決定をした最高裁判所は含まれず、また「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が不明瞭な場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、傷害被告事件について最高裁判所がなした上告棄却決定に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈の申立…
事件番号: 昭和44(す)273 / 裁判年月日: 昭和45年1月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」に上告棄却判決をした最高裁判所は含まれず、また「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が不明瞭な場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所による上告棄却判決に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈に関する疑義の申し立てを…
事件番号: 昭和42(す)179 / 裁判年月日: 昭和42年7月4日 / 結論: 棄却
一 刑訴法第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、刑の言渡をした判決の主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈について疑義がある場合をいう。 二 上告を棄却した最高裁判所は、同条にいう「刑の言渡をした裁判所」ではない。
事件番号: 昭和41(す)493 / 裁判年月日: 昭和42年2月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなくその解釈につき疑義がある場合を指し、上告棄却決定をした最高裁判所は「刑の言渡をした裁判所」に当たらない。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所がなした上告棄却決定および判決訂正申立棄却決定に対し、不服を申し…