判旨
刑事訴訟法501条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、判決主文の趣旨が明瞭でなくその解釈につき疑義がある場合を指し、上告棄却決定をした最高裁判所は「刑の言渡をした裁判所」に当たらない。
問題の所在(論点)
最高裁判所がなした決定に対し不服申立てをすることの可否、および最高裁判所が刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」に該当するか。
規範
刑事訴訟法501条に基づく裁判の解釈に関する申立てが認められるためには、判決主文の趣旨が不分明であり、その解釈に客観的な疑義が存在することを要する。また、同条の申立ての対象となるのは「刑の言渡をした裁判所」であり、上告を棄却したにすぎない上訴裁判所はこれに含まれない。
重要事実
申立人は、最高裁判所がなした上告棄却決定および判決訂正申立棄却決定に対し、不服を申し立てた。申立人は、当該決定の内容に疑義があるとして、刑事訴訟法501条所定の裁判の解釈に関する申立てを包含する趣旨の主張を行った。
あてはめ
まず、最高裁判所の決定に対しては、性質上さらなる不服申立ては許されない。次に、刑事訴訟法501条の要件を検討するに、本件申立ては判決主文の趣旨が不明瞭であることに基づくものではない。さらに、本件最高裁判所は被告人の上告を棄却したにすぎず、自ら「刑の言渡し」を行ったものではないため、同条にいう「刑の言渡をした裁判所」には該当しない。したがって、最高裁判所に対し同条に基づく疑義の申立てをすることは法的に不可能である。
結論
本件申立ては不適法であり、棄却を免れない。
実務上の射程
最高裁判所による上告棄却判決・決定に対し、刑訴法501条を根拠として実質的な不服を申し立てることはできない。実務上、同条の「裁判の解釈」の対象は主文の不明瞭性に限定され、かつ申立先は刑を言い渡した事実審裁判所(または自判した上訴審)に限られることを示すものである。
事件番号: 昭和42(す)429 / 裁判年月日: 昭和43年1月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告を棄却した最高裁判所は、刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」には当たらない。したがって、上告棄却決定に対して裁判の解釈を求める申立てをすることは許されない。 第1 事案の概要:被告人は器物毀棄および傷害被告事件について、最高裁判所から昭和42年10月27日に上告棄却の決定を…
事件番号: 昭和42(す)179 / 裁判年月日: 昭和42年7月4日 / 結論: 棄却
一 刑訴法第五〇一条にいう「裁判の解釈について疑があるとき」とは、刑の言渡をした判決の主文の趣旨が明瞭でなく、その解釈について疑義がある場合をいう。 二 上告を棄却した最高裁判所は、同条にいう「刑の言渡をした裁判所」ではない。
事件番号: 昭和33(す)238 / 裁判年月日: 昭和33年6月17日 / 結論: 棄却
上告棄却決定に対する異議申立棄却決定に対しては刑訴第五〇一条にいわゆる裁判の解釈を求める申立をすることができない
事件番号: 昭和44(す)273 / 裁判年月日: 昭和45年1月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条にいう「刑の言渡をした裁判所」に上告棄却判決をした最高裁判所は含まれず、また「裁判の解釈について疑があるとき」とは判決主文の趣旨が不明瞭な場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、最高裁判所による上告棄却判決に対し、刑事訴訟法501条に基づき裁判の解釈に関する疑義の申し立てを…