入場税法第二八条は、興行場等の経営者または主催者である人に対し、その代理人、使用人その他の従業者がした同法第二五条第一項等にあたる行為につき、その行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかつた過失の存在を推定した規定と解するのが相当である。
入場税法第二八条のいわゆる両罰規定の法意
入場税法28条
判旨
入場税法28条の法人処罰規定(両罰規定)は、事業主が従業者の違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定したものと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
両罰規定(本件では入場税法28条)は、事業主の過失をどのように構成しているか。また、それは憲法31条等の適正手続きや平等原則に反しないか。
規範
両罰規定は、事業主(興行場等の経営者または主催者)に対し、その代理人、使用人その他の従業者がした違反行為につき、その行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定した規定であると解する。
重要事実
被告人Aが、官給入場券を交付せずに現金で入場させたという入場税法違反の事実について、被告人自身の自白のほか、第一審判決が挙げた各証拠が存在した。弁護人は自白のみによる処罰の禁止(憲法38条3項)や、両罰規定による処罰の違憲性(憲法14条、31条)を主張して上告した。
あてはめ
本件において、被告人Aによる違反行為は自白だけでなく他の証拠によっても裏付けられており、補強証拠の存在に欠けるところはない。また、入場税法28条は事業主に対して無過失責任を課すものではなく、従業者の違反行為が発生した場合には事業主側に選任・監督上の過失があったものと推定する規定である。したがって、事業主が過失の不存在を証明しない限り、過失があるものとして処罰されることは憲法に違反しない。
結論
入場税法28条は過失を推定する規定であり、本件各上告は棄却される。
実務上の射程
刑事法における両罰規定の解釈として「過失推定説」を維持したものである。実務上、法人の処罰を論じる際には、従業者の行為によって法人の過失が推定されるため、法人側が免責されるためには「必要な注意を尽くしたこと」を立証する必要があるという文脈で使用する。
事件番号: 昭和34(あ)1000 / 裁判年月日: 昭和37年3月16日 / 結論: 棄却
一 入場税は、月を標準として申告、課税、徴収する月税であつて、その逋脱罪もまた月を標準として罪数を定むべきである旨の原判断は、正当である。 二 入場税法第二八条は、興行場等の経営者又は主催者(以下、単に経営者等という。)たる人の代理人、使用人その他の従業者が同法第二五条第一項等に違反した行為に対し、経営者等に右行為者ら…