一 入場税は、月を標準として申告、課税、徴収する月税であつて、その逋脱罪もまた月を標準として罪数を定むべきである旨の原判断は、正当である。 二 入場税法第二八条は、興行場等の経営者又は主催者(以下、単に経営者等という。)たる人の代理人、使用人その他の従業者が同法第二五条第一項等に違反した行為に対し、経営者等に右行為者らの選任、監督その他違反行為を防止するにつき必要な注意を尽さなかつた過失の存在を推定した規定と解すべきである。
一 入場税逋脱罪と罪数 二 入場税法第二八条のいわゆる両罰規定の法意
入場税法25条1項,入場税法10条,入場税法12条,入場税法28条,刑法45条
判旨
両罰規定において、経営者等は従業員の違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失を推定される。経営者側において、その注意を尽くしたことの証明がなされない限り、刑事責任を免れることはできない。
問題の所在(論点)
両罰規定において、事業主等の経営者が負う刑事責任の性質、および過失の立証責任の所在が問題となる。
規範
入場税法28条等の両罰規定は、経営者等の代理人や従業者が違反行為を行った場合、経営者等に対し、当該行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失を推定したものと解すべきである。したがって、経営者等において右に関する注意を尽くしたことの証明がなされない限り、経営者等もまた刑責を免れない。
重要事実
興行場の経営者である被告人Aの従業員である被告人Bが、入場税法違反行為(逋脱罪)に及んだ。被告人Aは、自身に過失がない場合でも責任を問われる無過失責任を課すものであり違憲であると主張して争った。
あてはめ
本件において、行為者である被告人Bによる入場税法の違反行為が認められる。これに対し、経営者である被告人A側において、Bの違反行為を防止するために必要な注意を尽くしたことについての主張・立証は認められない。したがって、過失の推定が維持される結果、被告人Aは同法28条に基づき刑事責任を免れることはできない。
結論
被告人Aに過失の存在が推定され、注意を尽くしたことの証明がない以上、両罰規定の適用により被告人Aの刑事責任を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
行政刑罰における両罰規定の解釈として、過失推定説を採る判例である。答案上は、両罰規定の合憲性を論じる際や、事業主の責任を基礎づける際に、無過失責任ではなく過失責任原則に合致することを本判例の論理を用いて説明し、挙証責任が事実上転換されている点に留意して論じる。
事件番号: 昭和42(あ)2862 / 裁判年月日: 昭和43年12月24日 / 結論: 棄却
入場税法第二八条は、興行場等の経営者または主催者である人に対し、その代理人、使用人その他の従業者がした同法第二五条第一項等にあたる行為につき、その行為者の選任、監督その他違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかつた過失の存在を推定した規定と解するのが相当である。