判旨
裁判所が量刑において被告人の余罪を考慮することは、起訴されていない犯罪事実を実質的に処罰する趣旨でない限り、憲法上の適正手続に反しない。
問題の所在(論点)
量刑の判断において、起訴されていない犯罪事実(余罪)を考慮することが、適正手続の観点から許されるか。具体的には、余罪を実質的に処罰する趣旨で重い刑を科すことが許されるかが問題となる。
規範
量刑において、被告人の性格、経歴、犯罪の動機、態様等の情状を考慮する際、起訴されていない犯罪事実(いわゆる余罪)を考慮することは、それが実質的に当該余罪を処罰する趣旨でない限り許容される。
重要事実
被告人Bは、一審および原審において有罪判決を受けたが、その量刑に際して起訴されていない犯罪事実が考慮されたとして、憲法違反および刑事訴訟法405条違反を主張して上告した。弁護人は、裁判所が余罪を実質的に処罰する趣旨で被告人に重い刑を科したと主張した。
あてはめ
本件において、記録を確認しても、原判決および一審判決が起訴されていない犯罪事実を余罪として認定し、これを実質的に処罰する趣旨で被告人に重い刑を科した事実は認められない。したがって、弁護人が主張する「余罪の実質的処罰」という前提自体が欠如しているといえる。
結論
本件各上告を棄却する。量刑において余罪を実質的に処罰した事実は認められず、憲法違反等の上告理由にはあたらない。
実務上の射程
余罪の量刑判断への考慮は、被告人の性格や再犯の危険性などの情状を把握する資料(情状としての考慮)としては許されるが、余罪そのものを処罰する(処罰としての考慮)ことは二重処罰の禁止や告知・聴聞の機会欠如の観点から許されない。実務上は、余罪が情状の範囲を逸脱して刑を不当に加重していないかが審査のポイントとなる。
事件番号: 昭和42(あ)907 / 裁判年月日: 昭和42年9月12日 / 結論: 棄却
未決勾留日数を本刑に算入する際全部を算入するかまたは一部を算入するかを裁判所の自由裁量にまかせている刑法第二一条が憲法に違反しないことは、昭和二二年(れ)第一〇五号同二三年四月七日大法廷判決、刑集二巻四号二九八頁の趣旨に照らし明らかである。
事件番号: 昭和45(あ)576 / 裁判年月日: 昭和45年7月10日 / 結論: 棄却
被告人が、昭和四三年三月二八日にaにおいて賭博をしたとの勾留状記載の事実と、同日同所においてAらがした賭博開張図利を、賭具を貸与して幇助したとの起訴状記載の事実とは、併合罪の関係にあるものであるから、事件の同一性を欠くものと解すべきである。
事件番号: 昭和44(あ)2511 / 裁判年月日: 昭和45年4月14日 / 結論: 棄却
上告趣意は、憲法一四条違反をいうが、原判決は、被告人が過去において暴力団に属していた事実を、量刑の一資料としたにすぎず、右事実をもつて、直ちに被告人に対し不利益な差別的処遇をしたものではないから、所論違憲の主張は前提を欠く。
事件番号: 昭和42(あ)1389 / 裁判年月日: 昭和43年4月23日 / 結論: 棄却
所論は、憲法第一四条違反を主張する。しかしながら、一般に賭博犯における刑の量定にあたつて、当該被告人がいわゆる博徒であるかどうかという点、博徒仲間においてどのような地位を占めているかという点は、いずれも当該犯行における犯意の強弱、加担の動機等の情状につながり、ひいては再犯のおそれの有無とも関連するところであつて、これら…
事件番号: 昭和48(あ)834 / 裁判年月日: 昭和48年11月9日 / 結論: その他
甲事件の裁判確定によりその本刑に法定通算されるべき未決勾留と重複する未決勾留を乙事件の本刑に算入しても、乙事件の裁判当時甲事件の裁判が未確定の状態であるときは、ただちにこれを違法なものとはいえないが、のちに甲事件の裁判が確定し法定通算されるべき未決勾留が、その本刑に通算されて刑の執行に替えられたときは、結局、違法なもの…