刑法第一八五条および第一八六条の規定が憲法第一四条に違反するものでないことは、当裁判所昭和二五年(れ)第二八〇号同年一一月二二日大法定判決(刑集四巻一一号二三八〇頁)の趣旨に徴し明らかである。
刑法第一八五条および第一八六条の規定は憲法第一四条に違反するか
憲法14条,刑法185条,刑法186条
判旨
刑法185条および186条の賭博罪に関する規定は、憲法14条の法の下の平等に違反しない。公営競技等の特別法による違法性阻却は合理的な根拠に基づくものであり、一律の処罰がないとしても憲法違反とはならない。
問題の所在(論点)
刑法185条および186条の賭博罪に関する規定は、特定の賭博行為のみを違法とする点で、憲法14条の法の下の平等に違反しないか。
規範
刑法185条および186条の規定が憲法14条に違反するか否かについては、特定の行為を処罰の対象とし、あるいは特定の目的のために例外的に処罰を免除することが、立法政策上の合理的な根拠に基づくものである限り、法の下の平等の原則に反しない。
重要事実
上告人は、刑法185条(賭博罪)または186条(常習賭博罪・賭博場開張等図利罪)に問われた。これに対し、弁護人は、公営競技など特定の賭博行為が他法によって許容されている一方で、本件のような賭博行為が処罰されることは、憲法14条が規定する法の下の平等の原則に違反するものであると主張して上告した。
事件番号: 昭和45(あ)1706 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条および186条2項が賭博行為を処罰することは、法の下の平等を定める憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が賭博場開張図利および賭博の罪に問われた事案において、弁護人は、これらの罪を処罰する規定は憲法14条(平等原則)に違反し無効である旨を主張して上告した。 第2 問題の所在…
あてはめ
最高裁判所昭和25年11月22日大法廷判決の趣旨を引用し、賭博罪の規定は憲法14条に違反しないと判断した。すなわち、社会経済的事情や公益上の観点から、一部の行為について特別法により違法性を阻却することは立法府の裁量の範囲内であり、一般的な禁止規定を設ける刑法の規定が直ちに平等の原則を害するものとはいえない。本件においても、この判断枠組みに従い、刑法の規定を適用することに憲法上の瑕疵はないと判断された。
結論
刑法185条および186条の規定は憲法14条に違反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
賭博罪の違憲審査に関するリーディングケース(昭和25年判決)を再確認したものである。答案上は、特別法による例外措置(公営ギャンブル等)と刑法上の禁止規定の整合性が問われた際、「立法府の合理的な裁量」を根拠に平等原則違反を否定する文脈で使用する。量刑不当は上告理由にならないという刑事訴訟法405条の原則的な運用も示されている。
事件番号: 昭和41(あ)2695 / 裁判年月日: 昭和42年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賭博開張図利罪の処罰規定は、何人に対しても差別なく平等に適用されるものであるから、法の下の平等を定めた憲法14条に反しない。 第1 事案の概要:被告人が賭博開張図利の行為により起訴され、有罪判決を受けた事案において、弁護人が当該処罰規定について憲法14条違反を主張し、上告した。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和53(あ)1860 / 裁判年月日: 昭和54年2月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法185条の賭博罪が、公認された公営競技等との対比において私人の賭博行為のみを処罰の対象とする点は、立法政策の問題に属し、憲法14条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が私的に賭博行為を行ったとして刑法185条に基づき起訴された。これに対し、弁護側は、国や公共団体が行う公営競技(公営ギャンブ…