国選弁護人の選任に関する刑訴法第三六条、刑訴規則第二八条は憲法第三七条第三項に違反しない。
刑訴法第三六条刑訴規則第二八条の合憲性
憲法37条3項,刑訴法36条,刑訴規則28条
判旨
憲法37条3項の弁護人依頼権は、必要的弁護事件でない限り被告人の請求を待って保障されるものであり、また自白の補強証拠は犯罪構成事実の全部を網羅する必要はない。
問題の所在(論点)
1. 必要的弁護事件以外の事件において、弁護人を付さずに審理を行うことが憲法37条3項、31条、14条に違反するか。2. 自白を補強する証拠は、犯罪構成事実の全部について必要か。
規範
1. 憲法37条3項、31条、14条との関係において、いかなる被告事件を必要的弁護事件(刑事訴訟法289条1項)とするかは立法政策の裁量に委ねられており、全事件を必要的弁護事件としなくとも憲法に違反しない。2. 自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)は、犯罪構成事実の全部にわたって漏れなく存在することを要しない。
重要事実
被告人は、原審(二審)において弁護人が付されないまま審判を受けた。本件事件は、刑事訴訟法上定められたいわゆる必要的弁護事件には該当していなかった。また、記録上、被告人が原審において自ら国選弁護人の選任を請求した形跡は認められなかった。弁護人は、弁護人抜きでの審判が憲法に違反する旨、および自白に対する補強証拠が不十分である旨を主張して上告した。
あてはめ
1. 本件は法律上の必要的弁護事件に当たらない。憲法37条3項は被告人の権利として弁護人依頼権を保障しているが、国選弁護人の選任に関する刑訴法36条等の規定は憲法に適合する。被告人が選任請求を行っていない以上、原審が弁護人抜きで審判したことに手続上の違法はない。2. 補強証拠の程度については、判例の趣旨に照らせば、自白に係る事実の真実性を担保できるものであれば足り、構成要件の全細部にわたる必要はない。
結論
原審が弁護人を付さずに審判したことは正当であり、また補強証拠に関する主張も理由がないため、上告を棄却する。
実務上の射程
刑事訴訟法における国選弁護制度の合憲性、および自白の補強法則(実質説)の基本的立場を示す。答案上は、必要的弁護事件以外の権利告知と請求の有無、補強証拠が「自白の真実性を担保する程度」で足りる点を確認する際に引用する。
事件番号: 昭和33(あ)1858 / 裁判年月日: 昭和34年1月30日 / 結論: 棄却
第一審において、裁判所より被告人に対し、弁護人を選任するや否やと照会していること明らかであり、仮に被告人よりこれに対し、貧困のため弁護人を選任しえない旨回答したことが所論の如くであつたとしても、これを以つては未だ、積極的に弁護人選任を請求したものとはなしえない。
事件番号: 昭和54(あ)305 / 裁判年月日: 昭和54年11月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審の訴訟手続において弁護人の訴訟活動に対する不当な制約がない限り、憲法37条1項、3項、31条、32条に違反するとの主張は前提を欠き、上告理由にならない。 第1 事案の概要:被告人が第一審の訴訟手続に関して、弁護人の訴訟活動に不当な制約があったと主張し、それが憲法37条1項、3項、31条、32…