記録によると、原審第一回公判調書には、昭和四一年二月四日の同公判期日が何時に開廷されたかの記載はないが、被告人は出頭した旨記載されている。そして、刑訴法第五二条によれば、公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されているものは、同調書のみによつて証明することを要し、他の反証を許さないのであるから、結局、被告人は同公判期日に出頭し審理に立会つたものと認めるの外はない。
公判廷に被告人が出頭したか否かと公判調書の記載
刑訴法52条,刑訴規則44条1項6号
判旨
公判調書の絶対的証明力(刑訴法52条)に基づき、調書に被告人が出頭した旨の記載がある以上、他の反証を許さず、事実上も出頭し審理に立ち会ったものと認めるべきである。
問題の所在(論点)
公判調書に被告人の出頭が記載されている場合に、これと異なる事実(出頭の不在)を主張して憲法違反を訴えることができるか。刑訴法52条の絶対的証明力の範囲が問題となる。
規範
刑事訴訟法52条によれば、公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されているものは、同調書のみによって証明することを要し、他の反証を許さない。したがって、調書に手続の履践が記載されている限り、その手続は適法に行われたものと法律上擬制される。
重要事実
被告人が原審の第一回公判期日に出頭せず、審理に立ち会う機会を与えられなかったとして、憲法31条および32条違反を主張して上告した事案。原審の第一回公判調書には、開廷時刻の記載は欠けていたものの、被告人が出頭した旨の記載がなされていた。
あてはめ
本件の原審第一回公判調書には、被告人が出頭した旨が明記されている。刑訴法52条の規定に照らせば、この記載事項については同調書のみによって証明すべきものであり、被告人が実際には出頭していなかったという反証は許されない。したがって、被告人が公判期日に出頭し審理に立ち会った事実は、法律上の証明として確定しているといえる。
結論
被告人が公判期日に立ち会わなかったことを前提とする違憲の主張は、その前提を欠き、適法な上告理由に当たらない。上告棄却。
実務上の射程
訴訟手続の適法性に関する論点で、刑訴法52条の絶対的証明力を論じる際の根拠となる。実務上、調書に記載がある限り、事実誤認や手続違背を争うことは極めて困難であることを示す。答案では、手続の適法性が争点となった際に、証拠能力を否定する文脈や上訴理由の存否を論じる場面で活用する。
事件番号: 昭和28(あ)248 / 裁判年月日: 昭和28年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公判調書に被告人が身体の拘束を受けなかった旨の記載がないことをもって、直ちに公判廷で身体の拘束を受けたと断定することはできない。また、自白の任意性については、記録上強制等の不任意な形跡が認められない限り、その訴えを採用することはできない。 第1 事案の概要:被告人が公判廷において身体の拘束を受けた…