判旨
死刑を規定する刑法240条(強盗殺人罪)は憲法に違反せず、犯情に照らし極刑を選択することは許容される。
問題の所在(論点)
死刑を規定する刑法240条(強盗致死傷罪、特に強盗殺人)の合憲性、および死刑という量刑の妥当性。
規範
死刑を定めた刑法240条後段の規定は合憲であり、被告人の犯行がその犯情に照らして極刑を科すことがやむを得ないと認められる場合には、死刑の選択は正当化される。
重要事実
被告人は強盗殺人および死体遺棄の罪に問われた。第一審判決は被告人を死刑に処し、控訴審(原判決)もこれを支持した。被告人側は、死刑規定の違憲性、自白の任意性の欠如、および量刑不当(死刑の不当性)を理由に上告した。
あてはめ
判例(昭和22年、昭和26年大法廷判決)に照らし、死刑規定自体は憲法に違反しない。また、本件における強盗殺人および死体遺棄という犯行内容を記録に照らして精査すると、その犯情は極めて重く、極刑(死刑)を科すことはやむを得ないものと認められる。
結論
刑法240条後段は合憲であり、本件犯情に照らした死刑判決は正当であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
死刑の合憲性を再確認した判例であり、個別事案における死刑選択の可否については「犯情」に照らした「やむを得ない」という判断基準を示している。刑事実務における量刑判断の枠組みとして機能する。
事件番号: 平成8(あ)482 / 裁判年月日: 平成12年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法13条、31条、36条に違反せず、極めて悪質かつ重大な結果を招いた強盗殺人等の事案において死刑を科すことは、諸般の事情を考慮しても是認される。 第1 事案の概要:被告人は、実兄と共謀の上、一人暮らしの従弟(36歳)をビニールひもで緊縛・絞殺して権利証等を強取し、死体を海浜に遺棄した(…
事件番号: 昭和62(あ)562 / 裁判年月日: 平成5年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」に当たらず合憲であり、死刑の適用は、罪質、動機、態様、結果の重大性等の諸情状を併せ考察し、罪刑の均衡および一般予防の見地からやむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は共犯者と共謀し、保険金目的で2名を殺害(海中への突き落とし及び鉄棒での殴打…
事件番号: 昭和50(あ)2111 / 裁判年月日: 昭和53年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、別件の詐欺事実による逮捕・勾留であっても、直ちに捜査権の濫用として違法となるものではない。 第1 事案の概要:被告人は、詐欺の被疑事実によって逮捕・勾留された。しかし、弁護人はこの逮捕・勾留が実質的には本件(殺人事件等)の捜査を目的と…
事件番号: 平成8(あ)168 / 裁判年月日: 平成12年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、複数の殺人・強盗殺人事件において、動機・態様・結果の重大性等の諸事情を総合考慮し、死刑の適用がやむを得ない場合には、これを是認することができる。 第1 事案の概要:被告人は約6年半の間に、2件の殺人と2件の強盗殺人等を犯した。具体的には、店舗店番の女…
事件番号: 平成28(あ)543 / 裁判年月日: 平成30年12月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条に違反せず、資産家夫妻を殺害・遺棄した強盗殺人等の事案において、周到な計画性、強固な殺意、結果の重大性を鑑みれば、前科がない等の事情を考慮しても死刑の選択はやむを得ない。 第1 事案の概要:被告人は、資産家夫妻の所持品を強奪するため、睡眠薬、ロープ、フック等を準備し、死体遺棄用…