刑法第一七五条は、憲法第二一条に違反しない(昭和三二年三月一三日大法廷判決、刑集一一巻三号九九七頁参照)。
刑法第一七五条は憲法第二一条に違反するか
憲法21条,刑法175条
判旨
刑法175条によるわいせつ物の頒布等の処罰規定は、憲法21条の表現の自由を不当に侵害するものではなく、合憲である。
問題の所在(論点)
刑法175条のわいせつ物頒布等の禁止・処罰規定が、憲法21条の保障する表現の自由に違反しないか。
規範
刑法175条のわいせつ物頒布罪等の規定は、公共の福祉(社会の善良な性風俗の維持)の観点から制限されるものであり、憲法21条に違反しない。
重要事実
被告人が刑法175条(わいせつ物頒布等)の罪に問われた事案において、被告人本人が同条の規定は憲法21条の表現の自由の保障に抵触し違憲である旨を主張して上告した。判決文中に具体的な頒布物等の事実は記載されていないが、下級審においてわいせつ物頒布等の罪が成立すると判断された事案である。
あてはめ
最高裁判所昭和32年3月13日大法廷判決(チャタレイ事件判決)の趣旨に照らし、性道徳を維持し公共の福祉を確保する目的での表現の自由の制限は許容される。本件においても同判旨の射程が及ぶものであり、刑法175条を適用して処罰することは憲法に反する不当な制限とはいえない。
事件番号: 昭和58(あ)1546 / 裁判年月日: 昭和59年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法175条のわいせつ物頒布等の規定は、憲法13条、21条、31条に違反せず、また、他人の権利侵害や未成年者への配慮を欠く場合に限定して解釈しなくとも合憲である。 第1 事案の概要:被告人が刑法175条の罪に問われた事案において、被告人および弁護人は、同条が個人の幸福追求権(憲法13条)や表現の自…
結論
刑法175条は憲法21条に違反しないため、上告を棄却する。
実務上の射程
わいせつ表現に対する公権力の介入(刑罰)が、表現の自由に対する合憲的な制約であることを再確認した判決である。答案上は、表現の自由の限界を論ずる際の、公共の福祉による制約の具体例(わいせつ物の規制)として引用すべき判例である。
事件番号: 昭和59(あ)1564 / 裁判年月日: 昭和60年4月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法175条のわいせつ物頒布等の規定は、憲法21条(表現の自由)および憲法31条(適正手続)に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が刑法175条(わいせつ物頒布等)の罪に問われた事案。弁護人は、同条の規定が憲法21条の表現の自由の保障に抵触し、またその内容の不明確さ等から憲法31条の適正手続にも…
事件番号: 昭和57(あ)281 / 裁判年月日: 昭和58年3月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法175条のわいせつ物頒布罪による処罰は、表現の自由を保障する憲法21条に違反せず、また「わいせつ」の概念は憲法21条、31条が要求する明確性の原則にも反しない。 第1 事案の概要:被告人は、いわゆる「ビニール本」を販売した行為について、刑法175条(わいせつ物頒布罪)の罪に問われた。これに対し…
事件番号: 昭和57(あ)311 / 裁判年月日: 昭和58年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法175条の「わいせつ」概念は憲法31条が要求する明確性の原則に反せず、同条による表現の自由等の制限も、公共の福祉に基づく合理的な制限として憲法13条、21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、わいせつな文書または図画を販売等したとして、刑法175条違反(わいせつ物頒布罪)に問われた事案…