判旨
死刑の量刑が争われた事案において、原判決が被告人に対し極刑(死刑)を選択したことは、記録を精査してもやむを得ないものとして適法である。
問題の所在(論点)
死刑の宣告が、憲法11条等の法令に違反せず、量刑不当として破棄されるべきものかどうかが問題となった。
規範
量刑の不当は原則として適法な上告理由にはならないが、極刑の選択については、犯行の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、被告人の年齢や前科等を総合考慮し、死刑の適用が真にやむを得ないと認められる場合には適法となる。
重要事実
被告人が強盗殺人等の罪に問われ、一審および二審において死刑判決を受けた事案。弁護人は憲法11条(基本的人権の享有)違反や判例違反、事実誤認、量刑不当を主張して上告した。
あてはめ
最高裁判所は、弁護人が主張する判例違反については、引用された判例が本件と事案を異にするため前提を欠くと判断した。また、記録を調査した結果、被告人の犯行内容や諸般の事情に照らせば、原判決が極刑を選択した判断は妥当であり、刑を免ずることはできないと評価した。
結論
被告人に対する死刑判決(極刑)は適法であり、本件上告は棄却される。
実務上の射程
死刑制度の憲法適合性や量刑の妥当性を肯定した簡潔な判例である。永山基準(最判昭58・7・8)以前の判断ではあるが、極刑選択の際の「やむを得ない」という基準を示すものとして、刑事訴訟法上の上告理由の検討において参照しうる。
事件番号: 昭和58(あ)208 / 裁判年月日: 昭和62年7月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に際しては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、極めて重大な罪責を免れない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は、借金返済のため女子学生(当時22歳)を誘拐して殺害し、その家族から3000万円を奪取しよ…
事件番号: 昭和58(あ)479 / 裁判年月日: 昭和63年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の選択に当たっては、罪質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、その責任が極めて重大で、やむを得ない場合に限られる。 第1 事案の概要:被告人は遊興費による多額の借金返済等のため、親戚同様の付き合いをしていた家の14歳の娘を誘拐し…
事件番号: 昭和51(あ)1559 / 裁判年月日: 昭和52年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度は憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらず、犯行の罪質、動機、態様、社会的影響の重大性等の諸事情に照らし、被告人に有利な事情を考慮しても死刑の選択がやむを得ないと認められる場合には、死刑の科刑は正当として是認される。 第1 事案の概要:被告人は、登校中の児童を略取して殺害し、さらにその親族に対…
事件番号: 昭和61(あ)1353 / 裁判年月日: 平成3年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑が憲法36条の「残虐な刑罰」に当たらないことを再確認した上で、犯行の罪質、動機、態様、結果及び遺族の被害感情等の諸要素を総合考慮し、死刑の科刑がやむを得ないかを判断すべきである。 第1 事案の概要:被告人は遊興費欲しさに、自身を信頼していた9歳の児童を誘拐した。その約1時間半後、身代金取得の足…
事件番号: 平成13(あ)803 / 裁判年月日: 平成17年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑の量刑判断にあたっては、犯罪の性質、動機、態様、結果の重大性、遺族の被害感情、社会的影響、犯人の年齢、前科、犯行後の情状を総合的に考慮し、罪責が極めて重大で、やむを得ない場合に認められる。 第1 事案の概要:被告人は昭和60年から平成7年にかけ、5名の女性・女児を殺害した。内訳は、情交関係にあ…