数個の窃盗行為が常習累犯窃盗を構成する場合には、集合的一罪であつて、併合罪を構成するものではない。
常習累犯窃盗を構成する数個の窃盗行為の罪数
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律3条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条,刑法45条前段
判旨
数個の窃盗行為が常習累犯窃盗を構成する場合、それらは包括的一罪(集合犯)として扱われるべきであり、刑法45条前段の併合罪として併合加重を行うことは法令の適用誤りにあたる。
問題の所在(論点)
常習累犯窃盗を構成する数個の窃盗行為につき、併合罪として処理し併合加重を行うことは許されるか。
規範
「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」3条に規定される常習累犯窃盗罪は、数個の窃盗行為が常習性の発現として反復して行われることを予定した構成要件である。したがって、同罪を構成する数個の行為は包括的一罪(集合犯)を構成し、刑法45条前段の併合罪とはならない。
重要事実
被告人が行った二つの窃盗行為(判示第一および第二)について、第一審判決はこれらが常習累犯窃盗罪を構成すると認定した。しかし、第一審は各罪の刑にそれぞれ累犯加重を施した上で、これらを刑法45条前段の併合罪に当たるとして併合加重を行った。原審もこの判断を看過して維持したため、法令適用の適否が問題となった。
あてはめ
本件における二つの窃盗行為は、いずれも常習累犯窃盗を構成するものである。常習累犯窃盗は、その性質上、数個の行為を包括して一個の罪として評価するものであるから、個別に累犯加重を行った上でさらに併合加重を行うことは、罪数論上の誤りである。もっとも、本件では誤って併合加重を行っても処断刑の範囲に差異が生じないため、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。
結論
数個の窃盗行為が常習累犯窃盗を構成する場合、併合罪を構成するものではない。第一審および原審の判断には法令適用の誤りがあるが、上告を棄却する。
実務上の射程
常習特殊窃盗や常習累犯窃盗などの常習犯について、構成要件に該当する複数の行為が「包括的一罪」であることを論証する際に用いる。罪数判断の誤りが直ちに判決の破棄理由(刑訴法411条1号)になるわけではなく、処断刑の範囲に影響を及ぼすかという「著しく正義に反するか」の観点も実務上重要である。
事件番号: 昭和39(あ)103 / 裁判年月日: 昭和39年7月9日 / 結論: 棄却
一 常習犯の中間に別罪の確定裁判が介在しても、そのためにその常習犯が二個の常習犯に分割されるものではないと解すべきである。 二 右の場合、その常習犯は別罪の裁判確定後に終了したものであるから、右確定裁判を経た罪とは刑法第四五条の併合罪の関係に立つものではない。 三 原判決が、刑法第四五条の適用を誤り二個の刑を言い渡すべ…