一 盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条にいう「此等ノ罪」には、同法第二条に掲記された刑法各条の罪の従犯が含まれる。 二 同法第三条に該当する常習累犯窃盗の一罪として起訴された数個の窃盗犯行の中間に同種態様の犯行による窃盗罪の確定判決が存在し、起訴事実中右確定判決前の窃盗犯行は右確定判決にかかる窃盗犯行と共に常習累犯窃盗の一罪を構成すべきものと認められる場合、右確定判決前の犯行については、既に確定判決を経たものとして、免訴とすべきである。
一 盗犯等の防止及び処分に関する法律第三条にいう「此等ノ罪」に従犯が含まれるか 二 同法第三条に該当する常習累犯窃盗の一罪として起訴された数個の窃盗犯行の中間に同種の窃盗罪の確定判決が存在する場合の措置
盗犯等の防止及び処分に関する法律3条,刑訴法337条1号
判旨
常習累犯窃盗罪の一罪を構成する数個の窃盗犯行のうち、その一部について既に確定判決がある場合、同一罪を構成する他の犯行についても既判力が及び、刑事訴訟法337条4号により免訴とされるべきである。
問題の所在(論点)
数個の窃盗犯行が常習累犯窃盗として包括一罪を構成する場合において、その一部の犯行(事実1)について、中間にある他の窃盗罪の確定判決による既判力が及び、免訴とされるべきか。
規範
常習累犯窃盗(盗犯防止法3条)は、数個の窃盗行為を包括して一個の罪を構成する包括一罪である。包括一罪の一部について確定判決がある場合には、その確定判決の既判力は、当該一罪を構成する他のすべての犯行に及ぶ。したがって、確定判決前の犯行が別罪として起訴された場合、裁判所は免訴の言渡しをしなければならない(刑事訴訟法337条4号)。
重要事実
被告人は、昭和40年から42年にかけて5件の窃盗(事実1〜5)を行い、常習累犯窃盗罪として起訴された。しかし、被告人は事実1と事実2の間の時期に、別の窃盗犯行により懲役10月の確定判決を受けていた。事実1は当該確定判決前の犯行であり、事実2〜5は確定判決後の犯行であった。第1審および原審は、事実1〜5すべてを包括して有罪と認定したが、事実1については既に確定判決の既判力が及んでいるのではないかが問題となった。
あてはめ
本件の事実1は、中間にある大牟田簡裁での確定判決に係る犯行と、その態様や被告人の前科等に照らして、同一の常習習癖に基づく包括一罪を構成すべきものである。そうであれば、包括一罪の一部について既に確定判決があった以上、その既判力は同一罪を構成する事実1にも及ぶ。したがって、事実1については刑事訴訟法337条4号に基づき免訴とされるべきであった。もっとも、事実2ないし5については確定判決後の犯行であり、依然として常習累犯窃盗罪を構成するため、結論として刑責に著しい不当はない。
結論
確定判決前の犯行である事実1については免訴とされるべきであり、これを有罪とした原判決には法令適用の誤りがある。ただし、本件では破棄するまでもない(上告棄却)。
実務上の射程
包括一罪(常習累犯窃盗や常習傷害等)と既判力の範囲に関する典型例である。「中間判決」の存在により罪が分断される際、確定前の犯行については既判力により免訴(337条4号)となることを、論証の結論として示す際に用いる。
事件番号: 昭和43(あ)2655 / 裁判年月日: 昭和44年6月5日 / 結論: 棄却
一 盗犯等の防止及び処分に関する法律三条は、窃盗その他同法二条所定の罪を行なう習癖を有する者を、その習癖のない者より重く処罰するため、通常の窃盗その他の罪とは異なる新たな犯罪類型を定めたものである。 二 いわゆる常習累犯窃盗の罪についても、刑法の累犯加重の規定の適用がある。
事件番号: 令和2(あ)919 / 裁判年月日: 令和3年6月28日 / 結論: 棄却
前訴で住居侵入,窃盗の訴因につき有罪の第1審判決が確定した場合において,後訴の訴因である常習特殊窃盗を構成する住居侵入,窃盗の各行為が前訴の第1審判決後にされたものであるときは,前訴の訴因が常習性の発露として行われたか否かについて検討するまでもなく,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。