判旨
判決文の記載から、公文書に作為を加えた旨の表現が直ちに公文書偽造罪の成立を肯定するものとは限らないことを示した。
問題の所在(論点)
一審判決における「被告人が本件各郵便貯金通帳に何らかの作為を加えた」旨の記載が、公文書偽造罪の成立を判示したものといえるか。
規範
判決文中に「何らかの作為を加えた」旨の記載があったとしても、それが直ちに特定の犯罪(公文書偽造罪等)の成立を断定した事実判示にあたるかは、文脈や判示の趣旨に照らして判断されるべきである。
重要事実
被告人が郵便貯金通帳に何らかの作為を加えた旨を一審判決が記載した。これに対し被告人側は、当該記載が公文書偽造の事実を判示したものであると主張し、判例違反や憲法違反等を理由として上告した。
あてはめ
最高裁は、一審判決の当該記載は、所論(上告趣意)がいうような「公文書偽造の事実を判示したもの」とは認められないとした。したがって、当該記載を前提として判例違反や憲法違反を主張する論旨は、その前提を欠くものと評価される。
結論
本件における一審判決の記載は公文書偽造の事実を判示したものではなく、上告趣意は適法な上告理由にあたらないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
判決文の一部に特定の構成要件を連想させる表現があっても、判旨全体からその事実の適示でないと判断される場合、上告理由の前提を欠くことになる。実務上は、判決文の文言解釈において、部分的なフレーズだけでなく判決の趣旨全体を検討する必要性を示唆している。
事件番号: 昭和41(あ)2814 / 裁判年月日: 昭和42年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決に事実誤認の瑕疵が含まれる場合であっても、他の証拠により犯罪の成立が十分に認められるときは、判決の結果に影響を及ぼすものではないため、上告趣意とはならない。 第1 事案の概要:被告人は、共犯者と共謀の上、約束手形6通を偽造したとして起訴された。原判決は、本件偽造手形6通すべての金額欄が「チェッ…
事件番号: 昭和23(れ)1947 / 裁判年月日: 昭和24年4月5日 / 結論: 棄却
一 貯金局名儀を以て發行せられる郵便貯金通帳は、公法關係において作成せられるものであるか、私法關係において作成せられるものであるかの問題に拘りなく、右の公文書であつて所論のような私文書ではない。(昭和五年(れ)第二〇三三號同六年三月一一日言渡大審院判決参照)それは又刑法第一六二條にいわゆる有價證券でもない。 二 甲府郵…
事件番号: 昭和25(あ)2011 / 裁判年月日: 昭和25年12月22日 / 結論: 棄却
刑訴規則第一八七条第一項は、控訴審には準用されない。