判旨
未決勾留と別罪の確定判決に基づく刑の執行が重なる期間は、未決勾留日数を本刑に算入することはできない。
問題の所在(論点)
未決勾留期間と別罪の懲役刑の執行期間が重複している場合、当該重複期間を本件の本刑に算入することができるか(刑法21条の適用範囲)。
規範
刑法21条に基づき、判決確定前の未決勾留日数を本刑に算入することができるが、勾留の執行と別罪の確定判決に基づく刑の執行とが競合(重複)している場合、その重複する部分は本刑に算入することはできない。
重要事実
被告人は本件(収賄等)で昭和39年1月14日から勾留されていたが、別罪(賭博開張図利罪)により懲役1年6月に処せられ、同年10月27日に刑が確定した。同日から昭和41年3月2日まで右別罪の刑の執行を受けた。被告人は本件第一審判決に対し、刑の執行中の昭和40年8月10日に控訴を申し立てた。原審(控訴審)は、昭和41年3月23日に控訴を棄却するとともに、未決勾留日数中120日を本刑に算入する旨を言い渡した。
あてはめ
被告人が別罪の刑の執行を受けていた昭和39年10月27日から昭和41年3月2日までの間は、身柄の拘束が別罪の刑の執行としての性格を有する。したがって、この重複期間は未決勾留日数として本刑に算入すべきではない。原審の未決勾留期間のうち算入可能な限度は、別罪の刑の執行が終了した翌日(昭和41年3月3日)から原判決言渡の前日(同年3月22日)までの20日間に限定される。原審が120日の算入を認めたことは刑法21条の解釈を誤った違法がある。
結論
原判決の未決勾留算入部分を破棄する。算入すべき日数は、刑の執行と重複しない20日間のみとする。
実務上の射程
未決勾留の算入に関する基本的判例。身柄拘束の性質が「未決」ではなく「既決刑の執行」に切り替わっている期間は、実質的な未決拘束ではないため算入を認めないという論理である。答案作成上は、余罪による刑の執行や別件による勾留との関係で、算入の可否を判断する際の基礎的な枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和40(あ)2220 / 裁判年月日: 昭和40年3月18日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】勾留と別罪の懲役刑の執行が競合している場合、その重複する期間の未決勾留日数を本刑に算入することは、刑法21条の適用において許されない。 第1 事案の概要:被告人は、本件窃盗罪で昭和40年6月2日から勾留されていた。一方で、被告人は別件の窃盗罪により懲役1年6月に処せられており、仮出獄の取消しによっ…