判旨
併合審理されている複数の公訴事実がある場合、特定の事実について発せられた勾留状による未決勾留日数は、刑法21条の趣旨に照らし、原則として当該勾留状の対象となった罪に対する刑に算入すべきである。
問題の所在(論点)
併合審理中の複数の公訴事実のうち、特定の事実に基づいて発せられた勾留状による未決勾留日数を、別の事実に対する刑に算入(通算)することの可否、およびその本刑の特定方法。
規範
刑法21条(未決勾留日数の本刑算入)の裁定通算において、被告人に対し二個以上の刑が言い渡される場合には、勾留状が発せられた罪に対する刑を「本刑」として、これに当該未決勾留日数を算入すべきである。
重要事実
被告人は、公訴事実第1から第14までの罪について併合審理を受けた。第一審判決は、事実第7について発せられた勾留状に基づく未決勾留日数を、事実第1の罪に対する刑に通算した。控訴審(原判決)は、併合審理中であり勾留の効果が事実第1にも及んでいるとして、第一審の通算を妥当ではないとしつつも違法ではないと判断した。しかし、控訴審自らが判決を言い渡すに際しては、事実第2ないし第14の罪に対する刑を本刑として、当該未決勾留日数の一部を通算した。
あてはめ
最高裁は、未決勾留日数は原則として勾留の原因となった罪に対する刑に算入すべきとする判例を正当として引用した。原判決が、事実第7の勾留効果が当然に事実第1にも及ぶとして通算を認めた点は判例に違反する。しかし、原判決は自らの量刑判断において、事実第7を含む「事実第2ないし第14」の罪に対する刑を本刑として未決勾留を通算している。そのため、原判決の理由中の判例違反は、結論(判決の結果)に影響を及ぼさないことが明らかである。
結論
未決勾留日数は勾留原因となった罪の刑に算入すべきであるが、本件では原判決が自ら言い渡した刑に適切に通算し直しているため、上告を棄却する。
実務上の射程
併合審理中の勾留日数の通算先について、勾留状の対象事実と刑の対象事実の一致を求める厳格な態度を示す。実務上は、複数の余罪がある場合でも、どの事件で勾留されているかを明確にし、当該事件の刑から通算を行うべきという指針となる。
事件番号: 昭和26(あ)2633 / 裁判年月日: 昭和28年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決勾留日数を本刑に通算するか否かは裁判所の裁量に委ねられており、これを通算しない判断が直ちに憲法14条、36条、37条1項に違反することはない。 第1 事案の概要:被告人が盗品等関与罪等に問われた事案において、第一審判決が言い渡された際、未決勾留日数が本刑に通算されなかった。被告人は、未決勾留日…