判旨
勾留の更新手続に違法があったとしても、それは別途救済手続を履践すべきものであり、直ちに判決自体や審判手続を違法ならしめるものではない。
問題の所在(論点)
勾留による拘禁継続中になされた勾留更新決定に手続上の違法がある場合、その後の本案判決や審判手続の適法性にどのような影響を及ぼすか。
規範
勾留による拘禁継続の中途において勾留更新手続に違法があったとしても、当該違法は別途準抗告等の救済手続によって争われるべき性質のものである。したがって、その違法が直ちにその後の判決自体を違法とするものではなく、また判決の基本となった審判手続に違法があったともいえない。
重要事実
第一審裁判所は、一審判決宣告後、控訴審に記録を送付するまでの間に勾留更新決定を行った。しかし、実際には当該決定の2日前に従前の勾留期間が満了しており、本来釈放されるべき被告人が釈放されないまま勾留が継続されるという手続的違法が生じた。被告人はこの更新決定に対して不服申立てを行わず、そのまま引き続き勾留の執行を受け、控訴審判決に至った。
あてはめ
本件では、勾留期間満了後に更新決定がなされるという違法があった。しかし、判決によれば、このような身分拘束に関する手続的違法は、本案の審判手続とは別個の救済手続で解決されるべきものである。記録上、本件の勾留更新の違法が原審(控訴審)での本案の審判や未決勾留日数の通算を違法ならしめるような具体的支障を生じさせた事跡は認められない。したがって、身分拘束の違法はあっても、本案判決を破棄すべき理由にはならないと解される。
結論
勾留更新手続の違法は直ちに判決自体の違法をもたらさない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
強制処分(勾留)の違法が、どこまで公訴提起や判決の効力に波及するかという「手続違法の承継」の論点において、本案手続への影響を否定する消極的な例として引用できる。ただし、勾留の違法が著しく、被告人の防御権を実質的に侵害したような特段の事情がある場合にまで一般化できるかは慎重に検討を要する。
事件番号: 昭和26(あ)4574 / 裁判年月日: 昭和29年1月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留が不法であったとしても、その間になされた訴訟行為が当然に全部無効となるわけではない。 第1 事案の概要:被告人は、昭和25年12月16日の起訴から同月19日の保釈までの間の拘束、および昭和26年3月19日の第一審有罪判決による収容から同年5月14日の原審における正規の勾留までの間の拘束が不当で…