判旨
判決当時の法令ではなく、犯行時に既に施行されていた改正後の道路交通法を適用すべきであり、適用法条を誤った原判決および第一審判決は破棄されるべきである。
問題の所在(論点)
行為時に既に改正法が施行されていたにもかかわらず、旧法の法条を適用して処断した判決には、法令適用の誤り(刑訴法411条1号)があるか。
規範
犯罪後の法律の変更により刑が軽くなった場合等を除き、原則として行為時に施行されている有効な法令を適用して処断しなければならない。適用すべき罰則が存在する場合、裁判所は正しい罰則及び罰則に対応する構成要件(法条)を特定し、適用する責務を負う。
重要事実
被告人は昭和39年9月7日に道路交通法違反に該当する行為を行った。第一審判決およびそれを是認した原判決は、この行為に対し、改正前の道路交通法25条1項、120条1項2号を適用して処断した。しかし、当該行為時において道路交通法は既に法律第91号により改正・施行されており、改正後の規定が適用されるべき状況であった。
あてはめ
本件行為が行われた昭和39年9月7日時点では、既に昭和39年法律第91号による改正法が施行されていた。改正後の道路交通法においては、第一審が適用した25条1項および120条1項2号は被告人の行為とは無関係な条文となっている。正しい適用法条は、改正後の同法25条の2第1項および119条1項2号の2である。したがって、旧法を適用した原判決等の判断には法令適用の誤りがあるといえる。
結論
原判決および第一審判決を破棄し、自判により被告人を罰金二千円に処する。
実務上の射程
法令適用の誤りに関する職権調査の事例。司法試験においては、罪数や法条競合、時効、あるいは本件のような改正法の施行時期の見落とし等、実体法上の適用誤りがある場合に、刑訴法411条1号(判決に影響を及ぼすべき法令の違反)に基づき破棄されるべき旨を論じる際の論拠となる。
事件番号: 昭和41(あ)491 / 裁判年月日: 昭和41年7月21日 / 結論: 棄却
逮捕の際犯人に対して警察官による暴行陵虐の行為があつたとしても、そのために公訴提起の手続が憲法第三一条に違反し無効となるものではない。