逮捕の際犯人に対して警察官による暴行陵虐の行為があつたとしても、そのために公訴提起の手続が憲法第三一条に違反し無効となるものではない。
逮捕手続における警察官の違法行為と公訴提起の効力
憲法31条,刑訴法338条4号
判旨
逮捕手続に違法があったとしても、そのことのみによって直ちに公訴提起の手続が無効となるものではない。
問題の所在(論点)
先行する逮捕手続の違法が、その後の公訴提起の有効性に影響を及ぼし、公訴棄却(刑訴法338条4号)の対象となるか。
規範
公訴提起の有効性は、逮捕等の前段階の捜査手続の適否とは別個に判断されるべきであり、先行する逮捕手続に違法があったとしても、公訴提起の手続自体が直ちに憲法31条に違反し無効となるものではない。
重要事実
被告人が逮捕され、その後に公訴を提起された事案において、弁護側は本件逮捕の手続に違法があることを理由に、当該違法な逮捕に基づく公訴の提起は憲法31条に違反し、無効であると主張して上告した。
あてはめ
本件において、仮に逮捕手続に所論の違法があったとしても、判例の趣旨に照らせば、その違法が当然に公訴提起の手続を無効にするとはいえない。したがって、原審が公訴提起を有効と判断したことに憲法違反の過誤は認められない。
結論
公訴提起は有効であり、逮捕の違法を理由に公訴提起を無効とする上告は棄却される。
実務上の射程
捜査手続の違法が公訴提起の有効性に影響するかという「違法な捜査と公訴提起」の論点におけるリーディングケースである。答案上は、極めて重大な違法(公訴提起自体が公序良俗に反するような場合)でない限り、先行手続の違法は公訴提起の効力を左右しないとする文脈で使用する。
事件番号: 昭和53(あ)2067 / 裁判年月日: 昭和54年9月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】第一審裁判官が予断を抱いていたとの事実は認められず、憲法31条および37条1項に違反しない。また、原審が判断を示していない事項や事案を異にする判例の引用は、上告理由としての判例違反に当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審裁判官が本件について予断を抱いたまま審理を進めたこと、および審理を尽…