判旨
勾留期間の執行満了により失効した勾留更新決定の効力がなお存続することを前提として、さらに重ねてなされた勾留更新決定は違法不当である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の勾留更新決定において、前提となる先行の勾留更新決定が既に執行満了により失効している場合、それを基礎としてさらになされた勾留更新決定は適法か。
規範
勾留更新決定は、その対象となる前の勾留期間が有効に存在することを前提とする。したがって、先行する勾留更新決定が期間の執行満了により既に失効している場合には、その失効した決定を基礎として更なる勾留期間の更新を認めることはできない。
重要事実
本件では、昭和32年5月17日付でなされた勾留更新決定が存在したが、その勾留期間は執行満了により既に失効していた。しかし、この失効した決定がなお効力を有することを前提として、さらに本件勾留更新決定がなされた。この本件勾留更新決定の適法性が、特別抗告において争点となった。
あてはめ
原審の判断によれば、昭和32年5月17日付の勾留更新決定は期間満了により失効していた。本件勾留更新決定は、この失効した決定が有効に存続していることを前提になされたものである。有効な勾留期間が存在しない以上、それを更新(延長)する余地はなく、前提を欠く本件更新決定は違法不当といえる。
結論
本件勾留更新決定は違法不当であり、原審が本件勾留更新決定を違法とした判断は相当であるため、本件抗告を棄却する。
実務上の射程
勾留更新の連鎖において、中間の更新決定が失効した場合にはその後の更新も認められないという、勾留期間管理の厳格な手続的適法性を要求する射程を持つ。実務上は勾留期間の計算誤りや更新漏れがある場合に、遡及的な治癒を認めない根拠として機能する。
事件番号: 平成6(し)88 / 裁判年月日: 平成6年7月8日 / 結論: 棄却
勾留期間更新決定に関する抗告申立ての利益は、右決定による勾留の期間の満了により失われる。
事件番号: 昭和29(し)27 / 裁判年月日: 昭和29年6月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】有罪判決の確定により未決勾留はその効力を失うため、勾留期間更新決定の当否を争う特別抗告は、不服申立ての利益を欠き不適法となる。 第1 事案の概要:申立人は窃盗被告事件に関し、名古屋高等裁判所で控訴棄却の有罪判決を受けた。これに対し上告受理の申立てを行ったが受理されず、昭和29年5月14日に原判決が…
事件番号: 昭和46(し)31 / 裁判年月日: 昭和46年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留更新の回数制限の除外事由を定める刑事訴訟法60条2項および89条3号の規定は、合理的な理由に基づくものであり、憲法31条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告人は、勾留更新の回数制限の除外事由を定めた刑事訴訟法60条2項および89条3号の規定に合理的理由がないことを前提として、これらの規定が憲…
事件番号: 昭和25(し)11 / 裁判年月日: 昭和26年4月27日 / 結論: 棄却
一 所論勾留更新決定書中の更新日の記載が不明瞭であることは所論のとおりであつて、右は「八」の文字と「七」の文字とを重複記載していることは右記載自体から窺われるのであるが、これを二八日と判読するべきか或はこれを二七日と判読すべきかはかかる文字の記載だけから断定することは困難であつて、かかる記載が刑訴規則第五九条に違反する…
事件番号: 昭和28(し)24 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の継続には、犯罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由および罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の存続が必要である。本件においてはこれらの要件が依然として存続していると認められ、勾留の継続を相当とした原決定に憲法違反はない。 第1 事案の概要:被告人は特定の犯罪事実に係る被疑者として勾留されて…