窃盗幇助をした者がその賍物を故買した場合には、窃盗罪と賍物故買の二罪が成立すると解するを相当する(昭和二四年(れ)第一五〇六号同年一〇月一日第二小法廷判決、刑集三巻一〇号一六二九頁・昭和二七年(あ)第五四四〇号同二八年三月六日第二小法廷判決、裁判集七五号四三五頁参照)。
窃盗幇助をした者がその賍物を故買した場合の罪数。
刑法325条,刑法62条1項,刑法256条2項,刑法45条前段
判旨
運送会社が委託を受けてタンクローリーで運送中のガソリンは、当該運送会社の管理下にあるといえ、その窃盗被害者は運送会社である。また、窃盗の幇助犯が後にその盗品を買い受けた場合、窃盗幇助罪と盗品等有償譲受罪(旧・賍物故買罪)の併合罪が成立する。
問題の所在(論点)
1. 運送会社が委託を受けてタンクローリーで運送中のガソリンの占有は誰に帰属するか(窃盗罪の被害者の特定)。2. 窃盗を幇助した者が、その盗品を後に買い受けた場合、併合罪として処罰されるか(不可罰的事後行為となるか)。
規範
1. 窃盗罪の客体となる占有の帰属については、当該財物を事実上支配・管理している者を基準に判断する。運送委託を受け自社車両で運搬中の荷物は、特段の事情がない限り、運送会社に占有がある。2. 窃盗罪の幇助行為と、その後の盗品譲受け行為は、別個の保護法益を侵害するものであるため、両罪(窃盗幇助罪と盗品等有償譲受罪)は併合罪となる。
重要事実
被告人Aは、B株式会社が他社から運送の委託を受け、B社所有のタンクローリーにより運送中であったガソリンを窃取した。また、被告人CはAの窃盗行為を幇助した上で、さらにその窃取されたガソリン(賍物)を買い受けた。第一審および原審は、ガソリンの占有(被害者)をB社と認定し、またCについては窃盗幇助罪と賍物故買罪(現・盗品等有償譲受罪)の成立を認めたため、被告人らが上告した。
事件番号: 昭和27(あ)5440 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: その他
犯行の用に供するため器具類を貸与して窃盗を幇助した者がその盗賍を寄蔵した場合においては、正犯者間における賍物の分配寄蔵と異なり、窃盗幇助と賍物寄蔵の二罪が成立するものと解するのを相当とする。
あてはめ
1. 本件ガソリンは、B社が他から運送の委託を受け、自社所有のタンクローリーによって運送し、現に管理していたものである。したがって、B社が当該ガソリンを事実上支配していたといえるから、その占有はB社に帰属し、B社を被害者とする窃盗罪が成立する。2. 窃盗の幇助は実行犯の窃取を容易にする行為であり、その後の故買(有償譲受)は盗品の追求を困難にする新たな法益侵害を伴う。したがって、両行為は別個の犯罪を構成し、併合罪として処断されるべきである。
結論
1. ガソリンの窃盗被害者は運送会社(B社)である。2. 被告人Cには窃盗幇助罪と盗品等有償譲受罪(賍物故買罪)の併合罪が成立する。
実務上の射程
運送中の荷物の占有帰属を確認する際の基礎的な判断材料となる。また、共犯者が事後的に盗品に関与した場合、それが不可罰的事後行為に留まらず、別罪(盗品等関与罪)を構成することを明示した点に実務上の意義がある。答案では罪数判断の局面で活用すべき判例である。
事件番号: 昭和26(あ)4681 / 裁判年月日: 昭和27年10月24日 / 結論: その他
本件自動車のガソリンタンク内のガソリンの事実上の支配権は、どこまでも占領軍当局に保有されたもので、同運転手はこれを独立して占有するものと認めることができないから、同運転手の本件ガソリンの抜取行為は正に窃盗であつて横領ではない。
事件番号: 昭和24(れ)1506 / 裁判年月日: 昭和24年10月1日 / 結論: 破棄自判
一 從犯は他人の犯罪に加功する意思をもつて、有形無形の方法によりこれを幇助し、他人の犯罪を容易ならしむるものであつて、自ら常該犯罪行爲それ自体を實行するものではない點においては、教唆と異るところはないのである。しかし自ら強盜窃盜を實行するものについては、その窃取した財物に關して、重ねて賍物罪の成立を認めることのできない…