一 從犯は他人の犯罪に加功する意思をもつて、有形無形の方法によりこれを幇助し、他人の犯罪を容易ならしむるものであつて、自ら常該犯罪行爲それ自体を實行するものではない點においては、教唆と異るところはないのである。しかし自ら強盜窃盜を實行するものについては、その窃取した財物に關して、重ねて賍物罪の成立を認めることのできないことは疑のないところであるけれども、從犯は前に述べた如く自ら強盜窃盜の行爲を實行するものではないのであるから、本件におけるがごとく、強盜の幇助をした者が正犯の盜取した財物を、その賍物たるの情を知りながら買受けた場合においては、教唆の場合と同じく從犯について賍物故買い罪は成立するものと認めなければならない。(昭和二四年(れ)第三六四號同年七月三〇日第二小法廷判決参照) 二 賍物の故買者が既に故買した物件を他に運搬するが如きは、犯罪に因て得たものの事後處分たるに過ぎないのであつて、刑法はかゝる行爲をも同法第二五六條第二項によつて處罰する法意でないことはあきらかである。 三 懲役刑につき最も重い賍物故買罪の所定刑に併合罪の加重をした刑期及び賍物故買罪につき定める罰金額の各範圍内において(罰金額については昭和二三年法律第二五一號によつて變更があつたので、刑法第六條に從い輕い行爲當時のものによる)被告人を懲役六年及び罰金一、〇〇〇圓に處し云々。
一 從犯の意義―正犯の盜取した財物をその情を知つて買受けた強盜の幇助者の賍物故買罪の責任 二 賍物の故買者がその賍物の故買物件を運搬する行爲と刑法第二五六條第二項 三 昭和二三年法律第二五一號による罰金額の變更と新舊法の比照
刑法62條,刑法236條,刑法256條1項,刑法6條,刑訴法256條2項,昭和23年法律251號
判旨
強盗罪の幇助犯が、正犯により盗取された財物を情を知って買い受けた場合、強盗幇助罪とは別に盗品等故買罪が成立する。一方、既に自ら故買した財物を運搬する行為は、事後処分に過ぎず、別途盗品等運搬罪を構成しない。
問題の所在(論点)
1. 強盗の幇助犯が、当該強盗によって得られた盗品を買い受けた場合、強盗幇助罪とは別に盗品等故買罪(刑法256条2項)が成立するか。 2. 既に故買した盗品をさらに運搬する行為に、別途盗品等運搬罪が成立するか。
規範
従犯(幇助犯)は他人の犯罪に加功する意思で当該犯罪を容易にするものであり、自ら実行行為を行う正犯とは区別される。したがって、正犯が窃取した財物の事後処分について正犯に盗品関与罪が成立しないとしても、従犯については教唆犯と同様、盗品等関与罪の成立を認めることができる。もっとも、既に自ら故買した物件をさらに運搬する行為は、犯罪によって得た物の事後処分にすぎず、盗品等運搬罪として処罰する法意ではない。
事件番号: 昭和27(あ)5440 / 裁判年月日: 昭和28年3月6日 / 結論: その他
犯行の用に供するため器具類を貸与して窃盗を幇助した者がその盗賍を寄蔵した場合においては、正犯者間における賍物の分配寄蔵と異なり、窃盗幇助と賍物寄蔵の二罪が成立するものと解するのを相当とする。
重要事実
被告人は、他人が強盗を行う可能性があることを認識しながら拳銃を貸与し、強盗を幇助した。その後、被告人は正犯が強盗により奪取した財物を、盗品であることを知りながら買い受け(故買)、さらにその財物を別の場所へ運搬した。原判決は強盗幇助罪、盗品等故買罪、および盗品等運搬罪の成立を認めた。
あてはめ
1. 従犯は自ら強盗の実行行為を行う者ではないため、強盗の幇助をした者が、後に正犯の盗取した財物を買い受ける行為は、強盗幇助罪に包含されるものではなく、別途盗品等故買罪を構成すると解するのが相当である。 2. もっとも、被告人は既に本件財物を故買しており、その後に当該財物を運搬する行為は、故買した財物の事後処分としての性格を有するに過ぎない。したがって、かかる運搬行為を別途盗品等運搬罪として処断することは、二重評価となり許されない。
結論
被告人には強盗幇助罪と盗品等故買罪(および併合罪の関係にある公務執行妨害罪等)が成立する。一方で、盗品等運搬罪の成立を認めた原判決の部分は違法であり破棄を免れない。
実務上の射程
本判決は、本犯(強盗・窃盗等)の共犯者による盗品関与罪の成否を示す重要な指針である。答案上は、正犯については「不可罰的事後行為」として盗品罪が成立しないことと対比させ、幇助犯については別途罪が成立することを論理的に区別して記述すべきである。また、事後処分がさらに別罪を構成するか否かの限界についても示唆を与えている。
事件番号: 昭和25(れ)762 / 裁判年月日: 昭和25年10月5日 / 結論: 棄却
鉄砲等を自己の実力支配下に置くという事実の認識がある以上、積極的にその物件を預る意思の下に所持が開始されたか否かというが如き事実は、銃砲等所持禁止令違反罪の成否を左右しない。
事件番号: 昭和26(れ)2432 / 裁判年月日: 昭和27年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品を買い受ける目的で、当該盗品を自ら運搬した行為について、盗品等運搬罪(刑法256条2項)の成立を認めた原判決を維持した。 第1 事案の概要:被告人Aは、被告人Bから盗品を買い受けるために、当該盗品を自ら運搬した。弁護人は、買受けの手段として行われた運搬は独立した運搬罪を構成しない旨を主張して上…