鉄砲等を自己の実力支配下に置くという事実の認識がある以上、積極的にその物件を預る意思の下に所持が開始されたか否かというが如き事実は、銃砲等所持禁止令違反罪の成否を左右しない。
積極的に鉄砲等を預る意思の有無と銃砲等所持禁止令違反罪の成否
銃砲等所持禁止令1条,銃砲等所持禁止令2条
判旨
賍物罪(盗品等関与罪)の成立には、盗品であることの認識として未必の故意があれば足りる。また、銃砲等所持禁止令における「所持」とは、対象物を自己の実力支配下に置くことをいい、預かる意思の有無等の主観的目的は犯罪の成否に影響しない。
問題の所在(論点)
1. 賍物罪(現:盗品等関与罪)の成立に、盗品であることの確定的な認識が必要か(未必の故意で足りるか)。 2. 銃砲等所持禁止令(現:銃刀法等)における「所持」の意義、およびその犯意の内容。
規範
1. 賍物罪(刑法256条)の故意については、対象物が賍物であることを確定的に認識していることは要せず、未必の故意があれば足りる。 2. 銃砲等の「所持」とは、当該物件を自己の実力支配下に置く客観的事実を指す。不法所持罪の犯意としては、その事実の認識があれば足り、積極的に預かる意思をもって開始したか否かといった動機や目的は犯罪の成否を左右しない。
重要事実
被告人は、Aらから頼まれ、盗品であることを知りながら物件を預かった(賍物寄蔵)。また、被告人は銃砲等を自己の実力支配下に置く状態にあった(不法所持)。被告人は、司法警察官の誘導尋問による供述であることや、積極的に預かる意思がなかったこと等を理由に、故意の欠如や所持の不成立を主張して上告した。
事件番号: 昭和25(れ)793 / 裁判年月日: 昭和25年8月9日 / 結論: 棄却
賍物牙保罪が成立するためには、賍物の處分行爲の媒介周旋を行うについて、利益を伴うことを必要としない。
あてはめ
1. 賍物罪について:被告人は盗品であることを知りながら物件を預かったことが証拠により認められる。犯罪の成立には未必の故意で足りるところ、被告人の供述内容に照らせば、知情(賍物であることの認識)の点は十分に認められる。 2. 所持罪について:被告人が銃砲等を自己の実力支配下に置いていた事実は自供により明らかである。実力支配の事実を認識している以上、不法所持の犯意は認められ、預かる意思の有無という主観的背景は「所持」の成否に影響しない。
結論
賍物罪は未必の故意で成立し、また銃砲等の所持罪も実力支配の認識があれば成立する。したがって、原判決の事実認定に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
賍物罪における未必の故意の肯定、および所持罪における「所持」の定義(実力支配)と犯意の範囲を示した基本的判例である。答案上では、盗品関与罪の主観的要件(故意)を論じる際や、特別法上の「所持」概念を定義する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)899 / 裁判年月日: 昭和26年10月18日 / 結論: 棄却
論旨第四点に主張する判示「D・D・T油液」は、物の名称であるから所論裁判所法第七四条に違背するとはいえない。
事件番号: 昭和24(れ)1506 / 裁判年月日: 昭和24年10月1日 / 結論: 破棄自判
一 從犯は他人の犯罪に加功する意思をもつて、有形無形の方法によりこれを幇助し、他人の犯罪を容易ならしむるものであつて、自ら常該犯罪行爲それ自体を實行するものではない點においては、教唆と異るところはないのである。しかし自ら強盜窃盜を實行するものについては、その窃取した財物に關して、重ねて賍物罪の成立を認めることのできない…