論旨第四点に主張する判示「D・D・T油液」は、物の名称であるから所論裁判所法第七四条に違背するとはいえない。
物の名称につき判文中外国文字を使用することの適否
裁判所法74条,旧刑訴法234条
判旨
盗品等関与罪の成否において、客体が盗品であるか詐取された物であるかは罪の成立に影響せず、判示において本件物品が「賍物(盗品等)」であることを示せば足り、その具体的な発生原因まで特定・判示する必要はない。
問題の所在(論点)
盗品等関与罪の成立において、客体が「盗品」か「詐取物」かという具体的な前置犯罪の態様を判決文で特定・明示する必要があるか。
規範
盗品等関与罪(刑法256条)の客体である「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」については、当該物品が領得罪に当たる行為によって不法に領得された「賍物」であることの認識があれば足りる。したがって、その発生原因が窃盗(盗品)であるか詐取(詐取物)であるかは罪の成立を左右するものではなく、判示においても「賍物」である旨を示せば足りる。
重要事実
被告人は、D・D・T油液の譲受け等に関し、盗品等関与罪(当時の賍物罪)に問われた。原判決では当該油液が「賍物」であると認定されていたが、弁護人は、それが「盗品」であるのか「詐取された物」であるのかを具体的に特定して判示していない点は審理不尽ないし理由不備であるとして上告した。
事件番号: 昭和25(れ)762 / 裁判年月日: 昭和25年10月5日 / 結論: 棄却
鉄砲等を自己の実力支配下に置くという事実の認識がある以上、積極的にその物件を預る意思の下に所持が開始されたか否かというが如き事実は、銃砲等所持禁止令違反罪の成否を左右しない。
あてはめ
盗品等関与罪の本質は、本犯によって侵害された被害者の追求権を困難にする点にある。本件におけるD・D・T油液が、窃盗によって得られたのか詐欺によって得られたのかという発生原因の詳細は、客体が「賍物」であるという法的性質を左右するものではない。判決文において、本件物品が他人の所持を侵害して領得された「賍物」であることを示している以上、その具体的な態様を細かく判示しなくとも、犯罪の構成要件を充足する事実を認定したといえる。
結論
盗品等関与罪の客体が盗品か詐取された物かは罪の成立に影響しないため、判決において「賍物」であることを示せば足り、それ以上の特定は不要である。
実務上の射程
本判決は旧法下の「賍物罪」に関するものであるが、現行刑法の盗品等関与罪にもそのまま妥当する。実務上、前置犯罪の犯人が不明であったり、具体的な窃取・詐取の態様が厳密に特定できなくとも、領得罪によって得られた「盗品等」であることの立証・認定があれば足りるという実務上の取り扱いを支える根拠となる。
事件番号: 昭和26(あ)5146 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品関与罪の成立には、客体が賍物(不法に領得された財物)であることの認識が必要であるが、第一審判決が証拠に基づきその旨を判示している以上、判例違反等の上告理由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が盗品等関与罪に問われた事案において、第一審判決が事実摘示および証拠によって、本件犯罪の目的物が賍…