判旨
刑法177条(当時の強姦罪、現行の不同意性交等罪に相当)の暴行・脅迫の程度について、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであれば足りるとする原審の判断を是認した。
問題の所在(論点)
旧刑法177条(強姦罪)における構成要件たる「暴行又は脅迫」の程度として、被害者の反抗を抑圧するに足りるものである必要があるか、あるいは反抗を著しく困難にする程度で足りるか。
規範
刑法177条にいう「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであることを要する。
重要事実
被告人らは、被害者に対し暴行または脅迫を用いて性交に及んだ。第一審判決は、その態様が被害者の反抗を著しく困難にしたと認定し、原判決もこれを是認した(具体的な事実は判決文からは不明)。
あてはめ
第一審判決が認定した事実関係に基づけば、被告人らが行った行為は被害者の反抗を著しく困難にしたと認められる。このような程度の暴行・脅迫が行われた以上、同条の構成要件を充足すると判断した原審の結論は正当である。
結論
本件の暴行・脅迫は被害者の反抗を著しく困難にしたと認められるため、強姦罪(当時)が成立する。上告棄却。
実務上の射程
本判決は、性犯罪における暴行・脅迫の程度が「抗拒不能」まで至らなくとも「著しく困難」であれば足りることを示した。もっとも、令和5年改正後の不同意性交等罪(刑法177条)においては、暴行・脅迫が「同意しない意思を形成、表明、全うすることが困難な状態」を生じさせるものへと明文化されているため、現在は改正法の要件に従って検討すべきである。
事件番号: 昭和44(あ)649 / 裁判年月日: 昭和44年7月25日 / 結論: 棄却
一三才未満の者に対し、その反抗を著しく困難にさせる程度の脅迫を用いてわいせつの行為をした場合には、刑法一七六条の前段と後段との区別なく右法条に該当する一罪が成立する。
事件番号: 昭和29(あ)146 / 裁判年月日: 昭和30年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強姦罪(現行法の強制性交等罪)の成立には、被害者の抗拒を著しく困難ならしめる程度の暴行または脅迫が必要であり、脅迫によって畏怖させた上で姦淫する行為は同罪を構成する。また、証人尋問の必要性は裁判所が判断すべきものであり、不必要な証人の申請を却下することは憲法37条2項に違反しない。 第1 事案の概…