刑法第一七条は憲法第一四条第一項に違反しない。
刑法第一七条と憲法第一四条第一項
刑法177条,憲法14条1項
判旨
旧刑法177条が強姦罪の客体を婦女に限定していることは、男女の生理的・肉体的な事実的差異に基づき婦女を特に保護するための合理的な根拠がある不均等であり、憲法14条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
旧刑法177条(強姦罪)が、その客体を「婦女」に限定し、男性を保護の対象に含めていないことが、憲法14条1項の法の下の平等に反し違憲とならないか。
規範
憲法14条1項は、法の下の平等を規定するが、国民がそれぞれの法律関係において対象の差に従い異なる扱いを受けることまで禁ずるものではない。一般法規において事実的差異から生ずる不均等がある場合であっても、その不均等が一般社会観念上合理的な根拠のある場合には、同条に違反しない。
重要事実
被告人は強姦の事実により起訴され、有罪判決を受けた。上告審において、弁護人は、刑法177条(当時)が強姦罪の客体を婦女のみに限定していることは、性別による差別を禁じた憲法14条1項に違反する旨を主張し、法令解釈の誤りがあるとして争った。
あてはめ
旧刑法177条が婦女のみを客体としたのは、男女両性の体質、構造、機能などの生理的・肉体的差異に基づき、かつ実際上強姦が男性により行われるのが通常であるという実態に鑑みたものである。これは、社会的・道徳的見地から被害者たる婦女を特に保護するためのものであり、男性を不当に差別する意図はない。したがって、かかる事実的差異に基づく婦女への不均等な保護は、一般社会的・道徳的観念上合理的な根拠があるといえる。
結論
刑法177条(旧強姦罪)の規定は、憲法14条1項に反するものではなく、合憲である。
実務上の射程
本判決は、男女の生理的差異等を理由とする別異扱いの合理性を広く認めた初期の判例である。なお、刑法は平成29年の改正により「強制性交等罪」へと改められ、客体は「人」とされることで男女の区別は解消されたが、平等権の合理的な差別に関する「事実的差異に基づく合理的根拠」という判断枠組み自体は、憲法上の論証として依然として重要である。
事件番号: 昭和25(あ)1729 / 裁判年月日: 昭和27年2月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定が人種、信条、性別、社会的身分又は門地等に基づき被告人を差別するものでない限り、個別の事案に応じた量刑の判断は憲法14条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の犯行に対し、第一審が刑を言い渡し、原審(控訴審)もこれを支持して第一審の科刑を相当と判断した。これに対し弁護人は、当該刑の量…