判旨
道路交通法33条1項における踏切直前での一時停止義務に関し、信号機の表示は「進め」等の明確な指示を含むが、警手付き遮断機の開放上昇は必ずしも「進め」の信号を意味しないため、後者の場合に一時停止義務を免れるものではない。
問題の所在(論点)
道路交通法33条1項ただし書が規定する「信号機の表示する信号に従う場合」の範囲に、警手付き遮断機の開放・上昇が含まれるか。また、信号機と遮断機の有無で一時停止義務の有無が異なることが憲法上の平等原則等に反しないか。
規範
道路交通法33条1項の例外として一時停止が免除される「信号機の表示する信号に従う場合」とは、信号機が「進め」または「止まれ」等の具体的な指示を表示している場合を指す。一方、遮断機の開放・上昇は単なる物理的な防護状態の変化に過ぎず、信号機による積極的な通行指示と同視することはできない。
重要事実
被告人は、警手付きの遮断機が設置されている踏切を通過する際、遮断機が開放上昇していたため、一時停止することなく進入した。これに対し、道路交通法33条1項に基づき一時停止義務違反が問われた。弁護人は、信号機がある場合に停止義務が免除されることとの比較から、遮断機が上昇している場合に停止義務を課すことは不公平であり違憲であると主張した。
あてはめ
信号機は交通整理のために「進め」等の明確な意思表示を行う設備であるのに対し、遮断機の開放上昇は必ずしも安全な進行を保証する「進め」の信号を意味するものではない。したがって、両者の機能には本質的な差異がある。遮断機が開放されている状態であっても、それは単に踏切が閉鎖されていないことを示すに留まり、運転者が負うべき安全確認のための直前停止義務を代替するものではないと解される。
結論
警手付き遮断機が開放上昇していても、道路交通法33条1項ただし書の適用はなく、踏切直前での一時停止義務は免除されない。したがって、本件一時停止義務を課す規定は合憲である。
実務上の射程
道路交通法における「信号機」と「遮断機」の法的性質の差異を明確にした判例である。答案上は、交通事犯における注意義務の根拠や、行政上の規制内容の合理性を論じる際の準拠となる。特に、法令の「ただし書」の解釈において、設備の機能的差異に着目して限定解釈を行う手法として参考になる。
事件番号: 昭和36(あ)2642 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
本件琴参踏切(原判決参照)のごとく、いゆる併用軌道が道路を斜に横断し、いわゆる新設軌道に接続しているときは、その道路と交差する部分は、道路交通法第三三条第一項にいう踏切にあたる。