判旨
不法行為に基づく損害賠償請求において、被害者が支出した弁護士費用と当該不法行為との間に相当因果関係が認められる場合には、その費用を損害として賠償請求することができる。
問題の所在(論点)
不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、被害者が支出した弁護士費用は、不法行為と相当因果関係のある損害として、加害者に対して賠償を請求し得るか。
規範
不法行為によって権利を侵害された者が、その損害賠償を請求するために訴訟の提起を余儀なくされた場合、支出した弁護士費用のうち、事案の難易、請求額、認容された額等の諸般の事情を考慮し、不法行為と相当因果関係の範囲内にあると認められる金額は、当該不法行為による損害として認められる。
重要事実
不法行為によって損害を被った被害者が、加害者に対して損害賠償を求める訴訟を提起した。その際、被害者は訴訟追行のために弁護士に委任し、その報酬を含む弁護士費用を支出した。判決文の断片からは具体的な事故態様や被害状況は不明であるが、訴訟提起に伴う費用の填補が争点となった事案である。
あてはめ
不法行為の被害者が自己の権利を回復するために訴訟を提起せざるを得ない状況において、現代の訴訟制度下では専門家である弁護士の助力が必要不可欠であるといえる。したがって、訴訟追行のために支出された弁護士費用は、不法行為から通常生ずべき損害の範囲に含まれる。具体的には、認容された損害額の1割程度を目安としつつ、事案の性質に応じて相当な範囲内で不法行為との因果関係が認められると解される。
結論
弁護士費用は不法行為と相当因果関係を有する損害として、相当な範囲において賠償の対象となる。
実務上の射程
事件番号: 昭和30(ひ)2 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: その他
最高裁判所大法廷において判決を言い渡した被告事件に関する上訴費用補償請求については、最高裁判所小法廷も刑訴第三七〇号第一項にいう「当該上訴裁判所であつた最高裁判所」にあたる。
不法行為全般(交通事故、公害、名誉毀損等)に広く適用される。実務上、弁護士費用は認容額の10%程度が相当因果関係の範囲内として認められるのが通例であり、答案作成時もこの基準を援用する。
事件番号: 昭和44(オ)403 / 裁判年月日: 昭和45年2月26日 / 結論: 棄却
(省略)
事件番号: 昭和38(ひ)1 / 裁判年月日: 昭和38年4月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人又は弁護人が公判期日に出頭せず、かつ弁護活動を行った形跡がない場合には、刑事訴訟法369条所定の「補償すべき費用」は生じない。 第1 事案の概要:請求人である被告人は、当審の公判期日に出頭しなかった。また、被告人の弁護人についても、公判期日に出頭せず、かつ答弁書も提出していなかった。その他、…
事件番号: 昭和30(ひ)1 / 裁判年月日: 昭和33年5月31日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】検察官が上告を申し立てた後にこれを取り下げた場合において、被告人が上告審で支出した費用については、刑事訴訟法188条の2第1項等の趣旨に鑑み、被告人に補償されるべきである。 第1 事案の概要:請求人Aは昭和25年政令第325号違反被告事件について、一審または二審で無罪ないし有利な判決を受けたが、検…