判旨
上訴権回復の請求および特別抗告の申立ては、刑事訴訟法に基づき、それぞれ適切な裁判所または原裁判所に対してなされるべきであり、管轄違いや手続違背がある場合は不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
上訴権回復の請求(刑訴法362条)および特別抗告の申立て(刑訴法433条、434条、423条1項)において、申立書の提出先を誤った場合の適法性が問題となる。
規範
上訴権回復の請求は、刑事訴訟法362条に基づき「原裁判所」に対してなされるべきものである。また、特別抗告の申立ては、同法434条、423条1項の規定に照らし、申立書を「原裁判所」に差し出すことによって行わなければならない。
重要事実
申立人は、東京高等裁判所が下した裁判の執行に関する異議申立の棄却決定に対し、最高裁判所に直接、上訴権回復の請求および特別抗告の申立てを行った。
あてはめ
本件において、申立人は上訴権回復の請求と特別抗告の申立てのいずれも最高裁判所に対して直接行っている。しかし、刑訴法上、上訴権回復の請求先は原裁判所である東京高等裁判所であり、特別抗告の申立書の差出先も同様に原裁判所である。したがって、最高裁判所に直接申し立てた本件各請求・申立ては、法定の手続に背くものであると解される。
結論
本件各申立ては不適法であるため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における各種申立ての管轄および提出先に関する基本的な規律を確認するものである。答案上は、手続的要件(申立先)の遵守が適法性の前提となることを示す際に参照される。
事件番号: 昭和51(し)76 / 裁判年月日: 昭和51年8月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復および上告申立を棄却する高等裁判所の決定に対しては、高等裁判所への異議申立が認められているため、刑訴法433条に基づく最高裁判所への直接の抗告は許されない。 第1 事案の概要:申立人は、上訴権回復の申立および上告申立をいずれも棄却した高松高等裁判所の決定(原決定)に対し、別途同裁判所に異…
事件番号: 昭和28(し)10 / 裁判年月日: 昭和28年3月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法32条の裁判を受ける権利の侵害を主張しても、その実質が単なる訴訟法違反の主張にすぎない場合は、刑訴法405条の特別抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、憲法32条(裁判を受ける権利)の違反を理由として特別抗告を申し立てた事案。しかし、その主張の具体的な内容は、原審の…
事件番号: 昭和32(し)29 / 裁判年月日: 昭和32年7月30日 / 結論: 棄却
第一審の有罪判決に対し被告人弁護人から適式の控訴申立書の提出がなく、ただ控訴申立期間内に控訴審における弁護人選任届が裁判所に提出されただけでは、控訴申立があつたものということができない。
事件番号: 昭和50(し)38 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、対象となる決定等に対して他に不服申立ての手段がない場合に限り許容される。高等裁判所への通常抗告が可能な決定に対し、これを経ずに直接最高裁判所へ抗告することは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(詳細は判決文からは不明)に対し、刑事訴…
事件番号: 昭和62(し)51 / 裁判年月日: 昭和62年6月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復請求及び特別抗告の申立てを棄却した決定に対し、刑事訴訟法433条に基づく特別抗告を行うことは、即時抗告という他の不服申立手段が存在するため認められない。 第1 事案の概要:申立人は、上訴権回復の請求およびこれと同時に特別抗告の申立てを行ったが、地方裁判所はいずれも棄却した。申立人はこの地…