上訴権回復請求及びこれと同時にされた特別抗告の申立を併せて棄却した地方裁判所の各決定に対する特別抗告の適否
刑訴法364条,刑訴法375条,刑訴法414条,刑訴法433条
判旨
上訴権回復請求及び特別抗告の申立てを棄却した決定に対し、刑事訴訟法433条に基づく特別抗告を行うことは、即時抗告という他の不服申立手段が存在するため認められない。
問題の所在(論点)
上訴権回復請求の棄却決定およびそれに伴う特別抗告の棄却決定に対し、刑事訴訟法433条1項に基づく特別抗告を申し立てることができるか。当該決定が「不服を申し立てることができない決定」に該当するかが問題となる。
規範
刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、即時抗告等の他の不服申立方法が一切認められていない決定を指す。他の条文(刑訴法364条等)に基づき即時抗告が可能である場合、当該決定は同法433条の対象にはならない。
重要事実
申立人は、上訴権回復の請求およびこれと同時に特別抗告の申立てを行ったが、地方裁判所はいずれも棄却した。申立人はこの地裁決定に対し、刑事訴訟法433条に基づき最高裁判所に抗告(特別抗告)を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法364条、414条、375条の規定によれば、上訴権回復請求およびこれと同時にされた特別抗告の申立てを併せて棄却した地方裁判所の決定に対しては、即時抗告を申し立てることができる。したがって、本件の地裁決定は、刑訴法433条が要件とする「この法律により不服を申し立てることができない決定」には当たらない。即時抗告という通常の不服申立手段が用意されている以上、特別の救済手段である433条の抗告を重ねて行うことはできないと解される。
事件番号: 昭和43(し)45 / 裁判年月日: 昭和43年6月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告(刑訴法433条)が許容されるのは、その対象である決定または命令に対し、刑事訴訟法上他に不服を申し立てることができない場合に限られる。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能であった。しかし…
結論
本件各抗告は不適法であるため、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事手続における不服申立の構造を確認する判例である。433条の特別抗告は、他に不服申立手段がない場合の最終的な手段であり、即時抗告が可能な決定(本件のような上訴権回復却下決定など)に対しては、まず即時抗告を行うべきであることを示している。実務上、不服申立の適否を検討する際の基本となる。
事件番号: 昭和46(し)29 / 裁判年月日: 昭和46年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、その対象となる決定又は命令に対して同法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が下した原決定に対し、刑事訴訟法419条及び421条に基づき、当該高等裁判所に対して通常の抗告を申し立てること…
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和50(し)38 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、対象となる決定等に対して他に不服申立ての手段がない場合に限り許容される。高等裁判所への通常抗告が可能な決定に対し、これを経ずに直接最高裁判所へ抗告することは不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、原決定(詳細は判決文からは不明)に対し、刑事訴…
事件番号: 昭和51(し)76 / 裁判年月日: 昭和51年8月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上訴権回復および上告申立を棄却する高等裁判所の決定に対しては、高等裁判所への異議申立が認められているため、刑訴法433条に基づく最高裁判所への直接の抗告は許されない。 第1 事案の概要:申立人は、上訴権回復の申立および上告申立をいずれも棄却した高松高等裁判所の決定(原決定)に対し、別途同裁判所に異…