判旨
公職選挙法252条による選挙権・被選挙権の停止は、刑罰ではなく処刑に伴う法律上当然の効果であり、憲法14条、15条、31条、44条等に違反しない。
問題の所在(論点)
公職選挙法違反により有罪となった者に選挙権・被選挙権の停止を課す公職選挙法252条の合憲性、および、当該停止措置が刑罰として法廷で宣告されないことが憲法31条等の適正手続に反しないか。
規範
1. 公職選挙法252条の規定は、憲法14条(平等権)、15条(参政権)、44条(議員資格の平等)に違反せず、国民の参政権を不当に奪うものではない。 2. 選挙権および被選挙権の停止は、適正な手続による公判審理の結果としての処刑の事実に伴う法律上当然の効果であって、刑罰そのものではない。したがって、公開の法廷で判決として宣告されないとしても、憲法31条等の定める適正な手続に反するものではない。
重要事実
被告人らは公職選挙法違反の罪に問われ、有罪判決を受けた。これに伴い、同法252条に基づき選挙権および被選挙権が停止されることとなったが、被告人側は、同条が憲法14条、15条、44条等に違反し、かつ公開の法廷での宣告を欠く停止措置は適正な手続に反すると主張して上告した。
あてはめ
1. 参政権の制限(憲法15条、44条等)について:判例によれば、同条の制限は国民の参政権を不当に奪うものではなく、合理的な範囲内として合憲とされる。 2. 適正手続(憲法31条等)について:本件における権利停止は、独立した刑罰ではなく、刑事裁判の結果生じる法律上の附随的効果である。被告人は公開の法廷で適正な公判審理を受けており、その結果としての処刑に伴い自動的に生じる効果である以上、法廷での宣告を要さずとも手続的保障に欠けるところはない。
結論
公職選挙法252条は合憲であり、被告人らに対する選挙権・被選挙権の停止は正当である。
実務上の射程
参政権の制限に関する合憲性判定において、その制限が「処刑に伴う法律上の効果」であることを理由に、刑罰とは区別して手続的保障の緩和を認める際の論拠として用いられる。特に資格制限が「附随的措置」とされる文脈で重要となる。
事件番号: 昭和38(あ)2501 / 裁判年月日: 昭和39年3月6日 / 結論: 棄却
論旨は、公職選挙法第二五二条の規定する選挙権および被選挙権の停止は、憲法第三一条にいわゆる刑罰であるから公開法廷においてこれを宣告すべきであるのに、その宣告の手続を採らなかつた一審判決を是認した原判決は、憲法第三一条、第八二条に違反する違法があるというのであるが、右違憲の主張がその前提を欠き採用できないことは既に当裁判…