道路運送法第一〇一条第一項は憲法第二九条に違反しない。
道路運送法第一〇一条第一項の合憲性。
道路運送法101条1項(昭和35年法律141号による改正前のもの),道路運送法4条(昭和35年法律141号による改正前のもの),道路運送法128条の3第2号(昭和35年法律141号による改正前のもの),道路運送法130条3号(昭和35年法律141号による改正前のもの),憲法29条
判旨
自家用自動車を有償運送の用に供することを禁止する道路運送法101条1項は、公共の福祉の確保のために必要な制限であり、憲法29条および31条に違反しない。
問題の所在(論点)
道路運送法101条1項が、自家用自動車の所有者による「使用」や「収益」を制限している点において、憲法29条の保障する財産権を不当に侵害し、憲法違反とならないか。
規範
憲法29条による財産権の保障は無制限ではなく、公共の福祉を確保するために必要なときは、その所持、使用、収益の制限を受認しなければならない。
重要事実
被告人が、自家用自動車を用いて有償で運送業務を行った。これが道路運送法101条1項(自家用自動車の有償運送禁止)に抵触するとして起訴されたが、弁護人は当該規定が憲法29条(財産権)および31条(適正手続)に違反するとして無罪を主張した。
あてはめ
道路運送法101条1項が自家用自動車の有償運送を禁止している目的は、交通秩序の維持や安全の確保といった「公共の福祉」にある。このような制限は、無秩序な運送行為を防ぎ社会全体の利益を守るために必要な範囲内のものであると認められるため、財産権の行使に対する正当な制約であるといえる。
結論
道路運送法101条1項は憲法29条に違反せず、これを前提とする限り憲法31条違反の主張も認められない。したがって、同規定は合憲である。
実務上の射程
財産権の社会的制約に関する初期の判例であり、公共の福祉による制限の正当性を肯定する枠組みを示している。司法試験においては、経済的自由や財産権に対する規制が「公共の福祉」に基づくものとして合憲性を肯定する際の根拠として参照される。
事件番号: 昭和39(あ)1506 / 裁判年月日: 昭和39年12月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法101条1項が自家用自動車の有償運送を禁止しているのは、無免許営業の取締実効性を確保し、道路運送の秩序を確立して公共の福祉を増進するためであり、憲法22条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、道路運送法(当時の規定)に基づき禁止されていた「自家用自動車の有償運送」を行った。これ…
事件番号: 昭和62(あ)588 / 裁判年月日: 昭和62年10月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】道路運送法における一般旅客自動車運送事業の許可制は、職業の自由を制限するものであるが、公共の福祉に適合するものとして憲法22条1項に違反しない。いわゆる白タク営業の禁止規定を適用することは合憲である。 第1 事案の概要:被告人が、道路運送法4条1項に基づく一般旅客自動車運送事業の許可を受けずに、自…