判旨
死刑制度および控訴審による第一審の無期懲役判決から死刑への変更は、憲法13条、31条、37条1項、39条に違反しない。
問題の所在(論点)
死刑制度および検察官の上訴による不利益変更(無期懲役から死刑への変更)が、憲法13条(生命に対する権利)、31条(適正手続き)、37条1項(公平な裁判所の裁判)、39条(二重処罰の禁止)に違反するか。
規範
1. 死刑を定めた刑法の規定は憲法13条に違反しない。2. 控訴審が第一審の宣告刑(無期懲役)を変更して死刑を言い渡すことは違法ではない。3. 憲法39条は検察官の上訴により有罪や重い刑の判決を求めることを禁止する趣旨ではない。4. 憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、組織や構成において偏頗のおそれのない裁判所を意味する。
重要事実
被告人Aに対し、第一審が無期懲役を言い渡した。これに対し検察官が量刑不当を理由に控訴したところ、原審(控訴審)は第一審判決を破棄し、被告人Aに死刑を言い渡した。また、原審は量刑事情の調査のため被害者の母を証人として取り調べた。被告人側は、死刑制度の違憲性、検察官による上訴の違憲性、および控訴審での量刑変更の違法性等を主張して上告した。
あてはめ
最高裁は過去の判例を引用し、死刑制度そのものの合憲性を肯定した。また、検察官の上訴についても、憲法39条は下級審の判決に対してより重い刑を求める上訴を禁じていないとした。さらに、刑訴法400条但書に基づく控訴審での刑の変更や、同393条1項に基づく量刑事情のための証人尋問についても適法であると判断した。憲法37条1項についても、組織上の偏頗がない限り違反とはならないとした。
結論
被告人に対し無期懲役から死刑へと刑を重くした原判決は、憲法13条、31条、37条1項、39条のいずれにも違反しない。
実務上の射程
死刑制度の合憲性や検察官上訴の合憲性を確認する基本的判例。刑事訴訟法上、不利益変更禁止の原則(刑訴法402条)は被告人が上訴した場合にのみ適用され、検察官が上訴した場合には第一審より重い刑を科すことが可能であることを示す実務上の前提となる。
事件番号: 昭和27(あ)425 / 裁判年月日: 昭和27年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】死刑制度そのものは、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には該当しない。これは最高裁判所の過去の判例により確立された判断である。 第1 事案の概要:被告人は死刑を宣告されたが、死刑は憲法36条の「残虐な刑罰」に該当し違憲であると主張して上告した。 第2 問題の所在(論点):死刑制度が憲法36条にいう「…