公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法二八五条二項による公判期日不出頭許可の決定は、いずれも訴訟手続に関し判決前にした決定であつて、かかる決定は、刑訴四三三条一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当らないと解するを相当とする。それ故、本件特別抗告は不適法たるを免れない。
公判期日変更申請却下の決定並びに刑訴法第二八五条第二項による公判期日不出頭許可の決定は刑訴法第四三三条第一項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」に当るか。
刑訴法276条,刑訴法285条,刑訴法433条,刑訴規則179条の4
判旨
公判期日変更申請却下の決定および刑訴法285条2項による公判期日不出頭許可の決定は、いずれも訴訟手続に関し判決前にされた決定であり、刑訴法433条1項の特別抗告の対象とはならない。
問題の所在(論点)
公判期日変更申請却下および不出頭許可の各決定は、刑事訴訟法433条1項の「この法律により不服を申し立てることができない決定」に該当し、特別抗告の対象となるか。
規範
刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」とは、終局的な決定等を指し、訴訟手続に関し判決前にされた決定であって、これに対する不服を中間的に申し立てる方法が他に規定されているものや、後の本案判決に対する上訴によって争うべきものは含まれない。
重要事実
被告人は公職選挙法違反事件の公判期日が指定されていたが、病気入院中であることを理由に公判期日変更を申請した。これに対し、裁判所は変更申請を却下するとともに、刑訴法285条2項に基づき被告人の不出頭を許可する決定を行った。被告人側は、重要な証人尋問が行われる期日に出頭できないことは憲法37条2項の証人審問権を侵害するとして、特別抗告を申し立てた。
事件番号: 昭和54(し)132 / 裁判年月日: 昭和54年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公判期日変更請求却下決定のように、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:本件の抗告人は、裁判所に対して公判期日の変更を請求したが、裁判所はこれを却下する決定(…
あてはめ
本件における公判期日変更申請却下の決定および刑訴法285条2項による不出頭許可の決定は、いずれも公判手続の進行に関するものであり、訴訟手続に関し判決前にされた決定にすぎない。このような決定は、独立した不服申立ての対象となる終局的決定には該当せず、判決前の手続上の決定として、後の判決に対する上訴手続等を通じて是正を図るべき性質のものである。したがって、刑訴法433条1項の規定する「不服を申し立てることができない決定」には当たらないと解される。
結論
本件各決定は、特別抗告の対象となる「不服を申し立てることができない決定」には当たらないため、本件特別抗告は不適法として棄却される。
実務上の射程
判決前の手続的決定に対する不服申立ての制限を示す。実務上、期日指定や変更に関する裁判所の裁量権行使は中間的な決定であり、憲法違反を理由とする特別抗告であっても、直ちに受理されるわけではないことを確認する際に用いる。
事件番号: 昭和55(し)77 / 裁判年月日: 昭和55年7月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官手持証拠の開示命令に関する異議申立却下決定のような、訴訟手続に関し判決前にされた決定は、刑訴法433条にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当しない。 第1 事案の概要:被告人側が、検察官の手持証拠について開示命令を発するよう求めたところ、裁判所がこれを発しない旨の…
事件番号: 昭和41(し)43 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公訴棄却を求める申立ては裁判所の職権発動を促すものにすぎず、却下決定に対しては終局裁判に対する上訴によって不服を申し立てるべきであるから、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:申立人が、裁判所に対し公訴棄却を求める申立てを行ったところ、裁判所がこれを却下する旨の決定をした。これに対し、申…
事件番号: 平成1(し)11 / 裁判年月日: 平成元年2月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公判期日変更決定のような訴訟手続に関し判決前にした決定は、刑事訴訟法433条1項にいう「この法律により不服を申し立てることができない決定」には該当せず、特別抗告の対象とはならない。 第1 事案の概要:裁判所が公判期日の変更決定を行ったところ、これに対して不服があるとして、刑事訴訟法433条1項に基…
事件番号: 昭和30(す)350 / 裁判年月日: 昭和30年10月31日 / 結論: 棄却
最高裁判所のした上告棄却決定に対しては特別抗告は許されない。